UN Office for the Coordination of Humanitarian Affairs (OCHA)
国連人道問題調整部

2000年11月12日
2001年 4月12日改訂

          United Nations Consolidated Inter-Agency Appeal for the
              Democratic People's Republic of Korea 2001


       2001年における朝鮮民主主義人民共和国のための国連機関の合同要請

                    国際連合


http://wwww.reliefweb.int/w/rwb.nsf/6686f45896f15dbc852567ae00530132/
b02fdffa4e6015dec1256999004c3bd1?OpenDocument


http://www.reliefweb.int/appeals/2001/dprk01.pdf


 概  要

戦略の概要

DPRK (朝鮮民主主義人民共和国)とROK (大韓民国)の指導者間の6月の歴史的な南北首脳会談以来、朝鮮半島は激動した。8月中旬のピョンヤンとソウルにおける離散家族再開、9月末に開かれた朝鮮半島の緊張緩和のための南北国防相会談、非武装地帯を横切る鉄道再開と高速道路建設の合意、ROKからDPRKへの借款による食糧支援の供給などの出来事は、1年前には想像もできなかった。また政府は、各国と外交関係を結んだり、東南アジア諸国連合 (ASEAN) を通じて地域問題と関係を深めるために、協調の努力を行ってきた。7月にはバンコクで開催されたアセアン地域フォーラムに初めて出席したが、それは重要な個別会談の場となった。

しかし、このような最近の政治的雰囲気の改善は、長期の経済衰退・一連の自然災害・記録的な天候不順の結果である人道的状況に、いまだ目立った影響を与えていない。2001年の要請は若干例の具体的観察を提供する。
  • 現在の人道的危機をもたらした諸条件はいまだに明白に存在する。
  • 記録的な天候不順が続いたため、2000年の農耕期は破壊的打撃を受けた。これを書いている時点では、まだFAO/WFPの食糧需要・作物査定使節団の調査結果は出ていないが、作物生産高が1999年を上回る見込みはなさそうだ。その結果として生じる食糧不足は他の方法で埋め合わせなければならないだろう。
  • 130万トン以上の食糧が不足している。不足の一部は、寛大な食糧支援によって満たされる。食糧不足は、最も対応能力がなく、最も食料を必要としている子ども、母親、高齢者に影響を与える。
  • 医療サービスは貧弱な状態にとどまり、住民への医療サポートを供給する国際的支援に大きく依存している。
  • 水道と公衆衛生設備は老朽化し、保守が行き届いていない。下痢をともなう病気は、しばしば清潔な水と適切な衛生環境の欠如を原因とするが、その発生率は目立って増加する兆しを見せており、子どもたちの栄養不良の要因となっている。
  • 停電が頻発し、住居や灌漑設備への水の供給から流感のワクチン保管施設の電源にいたるまで、家庭生活に関わる日々の全局面に影響を及ぼしている。
  • 煮たきや暖房のために薪を集めたり、より多くの食べ物を手に入れるために山肌を耕すため、環境は悪化し続けている。
  • DPRKの重要な業績の一つである教育も、資源の不足とインフラの枯渇によって脅かされている。
これらのメーセージを総合すると、人道的危機は解決に程遠いことがわかる。DPRKの弱者の状態は困難の度を増している。この2001年合同要請文書は、1996年以来6回目となる。文書は、人道的ニーズが継続していることを強調する一方、回復と開発の活動にもっと力を注ぐべきことを呼びかけている。DPRKが直面している問題は、中・長期的な観点から見れば、唯一、経済回復への努力によってのみ緩和される。インフラと農工業への資本投下なくして、人道的状況が目に見えて改善されることはないだろう。生産活動を支えるためのプログラムがあらためて強調されるべきであり、それと同時に人道的セーフティーネットの整備が確保される必要がある。生命を支えるための人道的努力と、円卓会議方式によって調整された回復と発展の開始戦略との両者が、現地駐在の諸機関によって密接に関係づけられてきた。この要請文では、その密接な関係にスポットを当てながら、そうした議論を明確にするよう試みる。

食糧保障部門では、弱者グループと認定された約800万人のニーズを満たすための食糧支援が引き続き必要であり、それは中期的な農業復興・環境保護(AREP)計画の下、農業部門を回復させるための努力によって補完されているが、その努力はまた、人道的食糧支援から抜け出る戦略を与えるものだ。国内食糧生産を増大させるための二毛作の拡大、新しい種子技術の開発への助力、 (国内および海外での)研修、国際農業開発基金(IFAD)を通じた各家庭への貸付、農業用機械の整備、その他の能力開発指導などが、持続可能な農業・加工活動の強調とともに、農業部門復興を支援するために構想されている。

社会部門、特に保健については、基本的薬品と医療器具、ワクチンで予防可能な病気に対するワクチンの供給、医療施設の改良、同時にその一方で、サービス提供の改善と現場の知識や技能の現代化などのため、継続的な支援が求められている。同様に、水道・下水部門の問題に対しても、原材料供給、設備の修理、そして訓練と能力開発を重視したプログラムを通じて対処する。教育活動についても、成人の全員識字を達成したという成果を維持しようとするのなら、支援が必要である。

調整サービスは、人道プログラムができるだけ有効に実行されるとともに、合同要請方式を通じて調整される人道プログラムと円卓会議方式によって調整される復興活動が合わさって、切れ目のない復旧戦略の基盤を形成することを確保するための鍵と考えられている。

横断的な問題、特にジェンダーの考慮は、文書の中に組み入れられている。2001年の部門別モニタリング表では女性と子供たちのニーズに対して十分注意を払っている−それは彼らの人道的ニーズのみではなく意思決定過程への参加とプロジェクトへの関与という視点からのものである。

必ずしもすべてを網羅するものではないが、ここで資金提供が要請されるプログラム群は、最も切迫したニーズに対処し同時に復興過程を持続させるための現地力量を支援するため、政府と密接に協議しながら、DPRKにおいて作業している人道集団の努力を代表している。この小さなスタートは、この文書に含まれるプロジェクトを通じて示されたものよりもはるかに大きな投資と支援によって補完される必要がある。

2001年の合同要請−要約

文書では、2000年の共通人道活動計画(CHAP)を簡単に振り返り、当該年中にいくらかの進歩が見られたこと、しかし不均等な寄付者からの資金提供が不均等なため、特に保健、栄養、水道と下水部門では、常駐機関が設定した目標を完全に達成することを阻害した。人道的状況に関する節では、DPRKが政治的レベルではめざましい前進を遂げたものの、まだ国民の人道条件の改善に結びついていない−依然として危機は続いており、経済復興が軌道に乗るまではそれが持続するであろう−という見解が示された。

CHAPは、DPRKにおける脆弱な人々の窮状はいくつかの要因の相互作用によるものであると認識している−乏しい栄養は衰弱を引き起こしており、それは汚染された水道水を飲むこと、および貧弱な下水施設と実務による下痢によって悪化させられる−これらにはまとめて対処する必要がある。したがって2001年のCHAPは6つの重点目的を設定する。
  1. 最も脆弱な人々への食糧援助を通じて栄養面でのセーフティネットを提供することにより、飢餓を回避する;
  2. 国内の食糧生産を増加させる努力を支援する;
  3. 保健および水道・下水部門における基本的生活サービスを供給するための物資を提供する;
  4. 農業、保健、栄養、水道・下水部門および教育活動における職員や専門技術者の能力開発のための支援を提供する;
  5. 緊急対策と長期的復興や開発プログラムとの間の連携を強化する;
  6. DPRKで活動する人道団体の作業環境を改善する。
続いて、2001年の食料保障、保健、水道・下水、教育、調整部門におけるプロジェクトの概要について述べる。2001年のプログラムは大体において2000年の状況分析に基づく。一部の戦略は、様々な部門における進展を検討した結果を受けて導出される。2000年のCHAP実行における成果と問題点は、付録Iの一覧表に収められている。

DPRKにおける人道集団は、1998年の末に共同声明を発表したが、そこでは次のことが述べらられている。

「...われわれはDPRK内で作業を行う上での制約や困難をよく知っている。われわれは、継続的に存在しつづけることと、建設的な関わりによってのみ、有意義な支援を提供するところまで到達することができるのだということを信じている。われわれはこの目的に向けて活動に従事しつづけるのだ。」

人道的および復旧プログラムの実行は、DPRKの国家安全保障の問題が部分的に制約となっている。1998年に確立された人道原則は、DPRKにおける人道的活動実施に対する基準を与えている。これらの基準に照らし合わせての進歩は、定期的に評価されており、2000年の9月までの分に関しては付録IIに掲載されている。結論として、2000年に作業環境はわずかに改善されたといえる。

国際赤十字社・赤新月社連盟(IFRC)は、UN諸機関、ICRC[国際赤十字委員会]、NGOと密接に協調して作業するパートナーとして、特に人道援助を必要とする者への配送において、DPRKの赤十字社に対する支援を提供しつづけている。

非政府組織(NGO)は、この文書の作成において重要な役割を果たした。常駐NGOおよび食糧援助リエゾンユニット(FALU)を通じて活動する非駐在NGOは、例外なく、作成されたCHAPと2001年におけるプログラムの意義を支持している。4つのNGOはこの要請文書にプロジェクトを組み込み、草の根レベルで活動するNGOが人道的および復旧ニーズを満たすための支援において果たす役割の重要性に対し、寄付者の関心を引くことにしている。

表1
朝鮮民主主義人民共和国のための
2001年国際連合機関合同要請における
部門別・要請機関別の必要資金総額
2001年1月〜12月
部門 必要額(米ドル)
食糧安全保障 * 362,144,683
医療および栄養 17,541,470
水質および衛生 2,498,750
教育 498,750
調整 1,301,275
総計 * 383,984,914
要請機関 必要額(米ドル)
食糧・農業機関および
国連開発計画
40,049,304
人道問題調整部 1,301,275
国連児童基金 10,502,940
国連人口基金 750,000
世界食糧計画 * 315,920,424
世界保健機構 8,350,280
非政府機構 7,110,691
総計 * 383,984,914

 *印は、2001年4月12日改訂


 2000年共通人道活動計画の回顧

財政面の概観

必要額を改定した2000年合同要請の下で、WFPは、同年中の予算改定と、それに、WFPのトン・ベースでの必要量が92.5パーセント充たされた事実とを適切に反映させるために2000年合同要請計画の米ドル・ベース要請必要額を調整した。予算改定は、WFPがビスケット(すなわち穀物)以外の他の品目を供給することを可能にし、それにより、合同要請総額は1億9,746万6,381米ドルとなり、その内、1億526万9,407ドル、すなわち53.3パーセントが2000年11月8日までに受け取られた。この額のうち、9,828万191ドル、すなわち93.4パーセントは食糧援助であり、残りは農業復興活動(2.9パーセント)、医療および栄養(2.9パーセント)、水質および衛生(0.2パーセント)、教育(0パーセント)、それに、調整(0.7パーセント)に焦点が合わせられたものだった。食糧援助への援助側の支援はなおしっかりしていたので、世界食糧計画(WFP)は2000年11月8日現在で総必要量のおよそ92.5パーセントを受け取った。しかし、他の部門への支援は、求められた割合で比べると乏しいものだった。このことは、多分野のニーズに対処し、そして、能力形成プログラムの要素、および、直接的な人道支援の提供とに焦点を合わせる統合的なプログラムを必要とした共通人道活動計画の遂行に悪影響を及ぼした。直接的な人道支援提供以外の諸活動のための資金が制約されたので、共通人道活動計画の戦略的目標はごくわずかが充たされただけだった。合同要請外の各NGOの資金要求は、(国連人道問題調整部(OCHA))の財政記録制度に必ずしも報告されないが)、やはりまた、ごく控えめにしか充たされなかった。各NGOは、他の寄贈者支援がなかったので、特に年度の最初の7ヶ月間、一部だけ基金がたまっていたNGO基金機構に大いに依存した。資金のために合同要請に提示されたどのNGOプロジェクトも、2000年11月8日現在、支援を受け取っていない。アメリカ民間ボランティア組織コンソーシアム(PVOC)は、前年同様、WFP経由の代わりに援助者から直接支援を受けた。

人道情勢の変化

2000年中には、朝鮮民主主義人民共和国政府によって政治的領域で多くの前進がなされた。同年中のカギとなる出来事は、朝鮮民主主義人民共和国と大韓民国の指導者間の首脳会談であり、それは2つの国のあいだの関係を温和なものに導いた。このことは歓迎されるものの、同国に駐在する人道活動家たちは、こうした変化が、同年中の他の積極的な政治的変化とも同様に、人道情勢に何ら意義ある効果をもたらすものではないということを警告する。人道情勢の解決は、いぜんとして経済と農業部門の復興ということに堅く結びついたままなのである。

達成された前進

制約された資金と、立ち入りに関する量的、質的な当面する問題にもかかわらず、制約された資源の注意深い割り当てによって増進が達成された。部門別活動についての詳細な情報は、部門別モニタリング表(付録T)に収められている。2000年合同要請のために確定された5つの戦略目標に関して、人道的ワーキング・グループ(HWG)による簡潔な回顧は以下のごとくである。

目標1−朝鮮民主主義人民共和国がその住民に十分な食料、医療サービス、給水と衛生、そして、初等教育・幼児教育を提供する能力の改善(時間枠:1年)

同年中の大規模な食糧援助の提供は、脆弱な集団が支援されるのを保障した。1999年から2000年にかけての農業復興・環境保護フレームワークの下で供給された投入物ゆえの収穫率の維持は、食糧援助の提供と1999年の増大した収穫とあいまって、政府の公共配給制度(PDS)が2000年6月まで一部食料配給分を供給できるようにした。1999年の配給分は4月で底をついた。農業復興・環境保護への引き続く支援は、合同要請プロセス(CAP)の範囲内、範囲外の両方で、食料入手の増加を支援した。2000年中の農業シーズンは、長引いた冬季、乾燥していて寒冷な春季、そして、5月から8月までの重要な期間中の平均以下の降雨によって悪影響を受けた。人道的活動集団が朝鮮民主主義人民共和国に入って以来はじめて、モニター要員らは作付けされないままの農地を目撃し、そしてまた、多くの場所で農民らが雨を待って遅らせ、遅くに主要作物の作付けがなされたのを観察した。雨は降らなかった。8月末と9月中に、2つの台風が朝鮮半島を襲い、もう少しで収穫期に達する前のトウモロコシに被害を及ぼした。こうした天候条件が重なり合った全体の影響は、食糧農業機関(FAO)とWFPによって10月半ばに行われ、11月にその内容が判明する収穫・食糧供給合同査定まで判明しないだろう。現地食料加工事業は拡張され、WFPと国際連合児童基金(UNICEF)の連携は、子ども用高栄養価補助食料の継続的な供給を確保した。

医療部門における人道的介入では、重点的に能力形成プログラムが含まれた。国際的に承認されている世界保健機構(WHO)およびユニセフの基準に従った定期的な全国ワクチン接種スケジュールの制定、(ポリオ根絶のために重要な)急性弛緩性麻痺監視における若干の改善、マラリア・結核抑制のための訓練、現地医薬品製造の開始、生殖医療についての能力形成、そして、塩田復興と結びついた食塩ヨウ素化における技術援助、これらはみな、住民のニーズに対処する公共医療サービスの能力を高めるのに寄与した。同時に、医療サービスの貧弱な国は、人道的コミュニティが提供しうる範囲をかなり超える大規模投資を通じてのみ基本的に対処できるものだということが認められる。人道的介入は、最も脆弱な集団を優先して、そのシステムに何らかの限定されたリハビリを提供してきた。

水質・衛生事業に対する援助側の控えめな資金提供は、この領域での能力形成についての朝鮮民主主義人民共和国当局の側の限定された関心と結びついて、能力の改善においてほとんど達成されえなかったことになった。けれども、昨年中に、保健教育協会がNGOと共に保健情報冊子を供給する事業に一層重点を置いたことは注目された。同様に、欧州委員会開発担当委員(EC DG/DEV)が、2001年に実施される水質・衛生分野プログラムの作成で政府関係部局と連携して作業にあたった。水の利用と安全性の状況は悪化しているので、援助側の真剣な注目が求められる。この分野で活動しているユニセフ、国際赤十字・赤新月社連盟、それに駐在NGOの努力は、一層の幅広い能力向上よりもむしろ必然的に、選ばれた子ども施設や医療施設での直接介入に焦点を合わせてきた。

初等教育・幼児教育を強化するのに必要な資金が充たされなかったことは、プロジェクトの遂行に不均一と遅延をもたらした。印刷紙の配送が政府の最優先事項であり続けた。参加学習の強化、荒廃した学校施設の復旧、教師の教育プログラムの向上化、それに、僻地教育への支援の機会は、資金制約のため実現されなかった。学習教材の不足、時代遅れのカリキュラム、そして、不適切な教室の環境と設備が主な弱点であり、それは、就学前教育および初等学校教育にとって潜在的に長期的な結果を及ぼす教育分野での重要な問題となっている。

目標2−緊急時に対する備えと対応のために十分な現地能力(時間枠:1年)

合同要請のもとでこの目標に該当するプロジェクトに対してはきわめて限られた資金しか受けられなかった。しかしIFRCはめざましい活躍をし、英国赤十字の支援を得て、訓練や国内にある5箇所の赤十字災害備蓄のストックを増加させるなど、災害予備プログラムを確立した。このプログラムは、9月初めの台風12号に際して、影響を受けた人々のニーズを満たす上で、特に有益であったことが示された。加えてWHOとIFRCは、マラリア防止のためのプリマキンおよびクロロキン錠剤により、公衆保健省を支援した。AREPプログラムの一部として、自然災害の監視や環境管理のためのリモートセンシングGIS(地理情報システム)がUNDPにより設置された。このプロジェクトは天然資源管理、自然災害監視および穀物産出予測のための国内能力開発を支援した。2000年にはリモートセンシングとGISに関連する国内の技術者に対して訓練活動が行われた。

目標3−国際的援助に対する依存の減少(時間枠:1-2年)

この目標の達成は、DPRKに対する援助のあり方の変化に大きく依存する。大規模な人道的援助、特に食糧援助は引き続き求められる。しかし復旧プロジェクトやプログラムに対して援助者の関心を転換することも必要である。2000年の要請では復旧を重視したプロジェクトが多く含まれていたが、これらに対する資金は多く提供されなかった。最近の政治レベルでの変化がDPRK当局者と援助者との相互理解の大幅な改善につながり、長期的視点からの支援戦略が作成されることが期待される。このことは、中期的には、人道支援の必要性を減少させるであろう。着手される開発支援は、1995年から2000年の間の人道分野における進歩により知見を得るはずである。一部の援助者は、彼らが復興/開発支援の提供を考慮する前の相互交流を質的に改善する必要性を指摘した。

目標4−国内の健康条件を改善し、死亡率を1994年以前の水準にまで低下させる。(時間枠:2−3年)

罹病率と死亡率水準の最新データはまだ政府から発表されていない。同様に国民の栄養状態に関するデータの不足は厳密な分析を妨げている。公衆保健省は免疫普及率に関する情報は提供しており、BCGが81.5%; 3種混合ワクチンは87%; ポリオ3は99%; はしかは98%; そしてビタミンA2で99.9%であった。これは1990年代中頃のデータに比べると大幅に改善されている。あらゆるレベルの医療機関に対する基本的薬品の国際的提供が、2000年にも引き続き行われ、さらに7種類の薬品を現地生産するという成果も加わった。医療機器も提供された。水道と下水の整備は、上に述べたように、相対的に控えめの要請に対しても資金提供者の反応が鈍いため、限られたものであった。このことにもかかわらず、道や郡レベルで水道と下水に関する講習会が開催された。

目標5−男女同権化(Gender Mainstreaming)(時間枠:1年)

OCHAが主催するジェンダー・テーマ・グループが設置されることで、男女同権化に関する議論の場が与えられた。現在、国連諸機関が提案されたプロジェクトについて審議する際には、ジェンダーの視点を折り込んでいる。国内および国際的スタッフに対する意識化は現在進行中で、政府担当者に関する働きかけも同様である。DPRKの憲法は男女平等をうたっている。しかし経験的証拠によれば、朝鮮人社会において家事と育児は大部分女性の務めとなっている。経済危機の時期にも、生産分野で要求される分が減少していないのに、家庭内での女性の負担はかなり増加した。機関での仕事やプロジェクト実行の際に女性の参加や権限を付与することは人道集団において優先事項である。ジェンダーバランスは国連システムの国際スタッフ配置では改善されてきた;しかし国内スタッフについては男性に偏った不均等が続いている。

得られた教訓

2000年のCHAPを実施する間に多くの重要な教訓が得られた。いくつかは2001年の戦略的計画作成に反映される一方,他はHWG(人道的作業グループ)が対処する範囲を超えている:

1.「国際的援助への依存を減少させる」という戦略目標は政治的状況の変化と、DPRK政府と潜在的援助提供者との間の良好な関係構築と相互理解によるところが大きい。それゆえこの目標は2001年のCHAPでは除外された。

2.人道集団が脆弱な人々の生活を改善させられる速度は発表されたCHAPや要請されたプロジェクトに対する援助提供者の反応、および1998年に確立された人道原則に対する政府の対応にも依存している。これまでのところ、これらの条件はどれも全体的に満たされていない。

3.データの信頼性や利用可能性に関する問題により強力に取組む必要がある−しばしば中央と地方レベルのデータが異なっている−当局から様々な機関や団体に提供されるデータもそうである。

4.国連諸機関とNGOの協力関係およびCHAPのもとで合意された目標の設定は、人道的プログラム作成に関して政府と共通の取組みが行われることを保証した。目的設定と進捗に関する定期的総括は2000年の人道的プログラム実施に活力を加えた。部門別モニタリング表も、人道的支援に従事する団体間で共通の目的に関する感覚を向上させた。

5.中間総括とCHAPのモニタリングの過程で政府メンバーの参加が少なかったことは、その全体的な質を損ねることになった。しかしプログラム作成の実務における協力に関して人道集団と政府との間の継続的関係は概して良好であった。いくつかの関係省庁や水害復旧委員会(FDRC)とは結びつきが構築され、人道団体のニーズや要求を理解するための親善関係を明確に示した。関係省庁とのさらなる関係構築と併せ、このような傾向をより強化し加速させる必要がある。国際的組織との交流の質を改善することによってのみ、この国は長期的復旧と開発支援およびプログラミングを意味あるものとすることができるだろう。

6.回顧により、男女同権化は戦略的目標というより、むしろあらゆるプロジェクト計画や実施における重要な要因であると見なされる−したがってこの目標は2001年のCHAPから除外された。同時に実施のモニタリング枠組みにおいてはプログラムにおいて男女同権が保証されるよう明確な指標と活動が含まれるであろう。

7.人道団体にとっての質的および量的な立ち入り可能性は、引き続き、政府の国家安全保障に対する考慮により左右される。この継続中の問題は、住民のニーズに総合的な対応を行う上で人道集団の能力を部分的に後退させる。211郡の内高々163郡で立ち入りが年間を通じて可能である。


 人道的状況

政治、経済、および制約の分析

国際社会にとって、2000年中にDPRKの状況に関して多くの重要な出来事があった。これらの概要は次の通り:
  • 2000年6月にDPRKとROK(韓国)の指導者間で首脳会談が開催され、五項目の合意が結ばれた。そしてその一部はただちに実施された(たとえば2000年8月にピョンヤンとソウルでの離散家族再会や韓国からDPRKへの未帰還囚人の送還);
  • DPRKと韓国間の鉄道と道路の連結のための建設開始;
  • ケソン(開城)における工業地区の開発に関してDPRKと韓国の現代社との間で契約調印;
  • 韓国からDPRKへの大規模食糧援助と食糧借款の提供;
  • DPRK指導者の中国訪問;
  • アメリカ合衆国による制裁の緩和;
  • イタリア、オーストラリア、フィリピンとDPRKとの国交樹立;
  • DPRKと日本の間で関係正常化のための話し合い;
  • DPRKのアセアン地域フォーラムへの加盟要請が認められたことに続き、アセアン加入に向けた努力;
  • 2000年7月にロシア連邦の大統領がDPRKを訪問;
  • 他の国と関係正常化のための話し合いの進行。
特に重要なことはDPRKと韓国の間の再接近であり、それは勢いを増しているようである。経済の改善に関して目に見える効果を判断するには尚早であるが、姿勢の変化は密接な協調が実現し、二国間および多国間開発支援が提供される時代が到来したことを告げている。過去5年間にDPRKと韓国間の貿易はかなり増加した。このことは、経済破綻以前は旧ソ連同盟国との貿易に深く依存していたDPRKにとって著しい変化を意味している。しかし前年の要請や他の文書で述べられた、経済とそれに関連する人道問題は依然として存在している。多くの国民の状況はきわめて不安定であり、しばらくはその状況が続くであろう。

同時に、人道集団は人々に支援を提供する活動において制約を受けつづけている。相対的に国内で長期間従事している機関やNGOは、特に道、郡、集落レベルで相互理解が改善する場合もあるが、立ち入り可能性は質的に目に見えて改善されていない。同様に、モニタリング活動、および当局側の安全保障上の懸念により立ち入り禁止となっている地域において問題に直面している。確立された人道原則に従えば、立ち入りが許されない地域では国際的支援を受け取ることができない。

問題分析

上で述べたような好ましい傾向もあるが、DPRKにおける人道的状況はきわめて深刻なままである。90年代後半の大規模な人道的援助が長年にわたった食糧不足を緩和した。1998年に状況の安定化以来、継続的な人道支援が人口の約20%の人々に対し提供されてきた。食糧援助は、農業生産の増加をめざした円卓会議/AREP(農業復興環境保護)を通じた農業部門のプログラム、および死亡率の減少と保健サービス提供システムの漸進的改善をめざした保健部門のプログラム実施によって担われてきた。水道・下水部門においても、安全な水道水供給と下水設備の整備を担当する施設に対して主たる支援が行われた。

問題分析を通じて、1990年代終盤と2000年において取り扱われた問題は、2001年にも継続するであろうことがわかった。2000年の栽培期間における悪天候と、同年8月末にはもともと食糧危機にある東北部を襲った台風12号が収穫に与える影響により、収穫の減少が予想される。したがってより多くの食糧援助が必要になると考えられる(注3)。保健システムにおいて改善は見られるものの、これらの成果を強固にしさらに強化するためには、援助者からの資金調達可能性に依存するところが大きい。そのようなニーズは、UN機関が対処する範囲を超えている−この要請で求めていることは必要最小限と考えられる。同様に、水道と下水のシステムにおいてはインフラストラクチャの問題を解決する必要があるが、これには持続的な投資が求められる。人道社会の目的は、食糧援助、地域レベルの活動、そしてすべての部門の技術担当者の能力開発を通じて、最も脆弱な人々をできるだけ多く保護することである。復興活動が効果を発揮し始めるまで、この国の脆弱な人々は食糧危機の状態が続く。HWG(人道活動グループ)は緊急事態が終わったと考えることはできないと強調している。

─────
(注3)この要請文書が発表される時点にはFAO/WFP食糧収穫調査は完了していないが、 2000年7月の中間調査では次のことが示された:

1999年11月−2000年10月の脱穀済み穀物バランスシート(1000トン単位)
総利用可能量 3,420
穀物生産
ジャガイモ生産(穀物換算)
在庫減少
2,930
490
0
総利用量 4,751
食糧用
飼料用
他の目的、種、収穫後の損失
3,814
300
637
輸入必要量 1,331
商業的輸入能力
緊急食糧援助(配送済みあるいは配送予定)
充足されない不足分
210
586
535

─────

主要な課題であり、また援助者の資金提供パターンが対応する必要があることは、人道的関与を受けている諸部門間の結びつきを明確にすることである。他の部門に対して十分な補完的資金提供がないままで食糧援助提供を行っても、その効果は限られたものとなる。施設への訪問を通じて明らかになったように、清潔な水道がなく、劣悪な衛生状態、物資の欠乏して時代遅れの保健サービスのもとにある、病気の子供たちは栄養食品だけで回復することはない−彼らの脆弱性に影響を与える広範囲の問題に対応するため多部門にわたる対策が必要なのである。調和のとれた論理的方式で援助や支援を提供するため奮闘している人道集団は、合同要請文がDPRKの脆弱な人々の生活を持続的に改善させるよう計画されたプログラム対策の範囲を示す、総合的で戦略的な文書であるということが援助者に認識されることを望んでいる。そのような活動の範囲は援助者の反応に左右されるが、2000年において食糧援助以外のすべての部門で援助額は不足した。

施設の子供たち、妊娠中あるいは授乳中の女性、高齢者、そして小児科の入院患者を中心とした対象人口は前年とほとんど等しい(750万人が食糧援助を受けている)。都市における過小雇用の労働者たち、特に南西部の穀倉地帯よりも食糧の入手が困難な東北海岸沿いに住む人々は、2000年に対象者として追加され、国際支援の範囲として含められている。

過去10年間の逆境により、DPRKの子供たちの保護権が脅かされるようになった。周辺の他の国とは異なり、性的搾取、物売り、闇商売、誘拐、武装対立などのような児童保護にかかわる問題はDPRKには存在しない。しかし5歳以下や障害児のような脆弱なグループに対しては特別な保護を要する。彼らの保護権を脅かす要因は、経済回復の遅れ;子供たちの生存、成長、保護のための物資不足;家庭、保育員、および地域社会の弱体性;過重な家事や共同体の労働奉仕のため特に母親の眼が届かないこと;保育員の意欲低下および知識と実践とのギャップ、などである。

全体的な栄養状態は改善されたようではあるが(1998年末に行われた栄養調査以降のデータは得られていないので、モニタリングや現地職員からの情報による)、指定された脆弱者グループは依然として食糧不安であり、保健サービスの利用可能性に乏しいため病気になりやすく、清潔な水を利用できなかったり劣悪な衛生状態、その他多くの問題に直面している。

政府は、自ら栄養調査を2000年に行ったということ、そして結果がまもなく人道集団に公開されるということを連絡してきた。保健・栄養関係の機関は、将来に政府と国際機関が共同で栄養調査を行う必要があることを政府に対し主張しつづけるだろう。栄養失調状態に関する情報収集するための他の手段(地区レベルおよび児童施設における監視所と成長モニタリング)も強化されるであろう。


 共通人道的活動計画 
【ハンクネット増補、2001/5/20】

概要

共通人道的活動計画(CHAP)では、DPRKにおける脆弱な人々の苦境はいくつかの要因の相互作用によるものと認識している−貧弱な栄養摂取による体調の衰弱、汚染された水道水による下痢、劣悪な下水施設と業務−これらすべての要因は一斉に対処する必要がある。したがって 2001年のCHAPは6つの重点目的を確立する。

(a) 食糧援助と最弱者に対する安全網を提供し飢餓を回避する;

(b) 国内の食糧生産を増加させるための活動を支援する;

(c) 保健、水道、下水部門における基本的な生活関連サービス供給のための物資を提供する;

(d) 農業、保健栄養、水道、下水、そして教育活動におけるサービス供給者と技術専門家に対して能力開発支援を提供する;

(e) 緊急対策と長期的復興・開発計画との間の関係を強化する;

(f) DPRKで活動する人道団体の作業環境を改善する。

2000年のCHAPで述べられたことは2001年においても妥当することがわかった。2000年の回顧により、DPRKにおける人道集団は、以前は明らかにされなかったニーズと資金のギャップに対応する柔軟性を同時に維持しながら、協調的で戦略的なプログラムを実行することができたことを確かめた。共通の目標や目的は活動の枠組みを与えた。したがって2001年のCHAPは、前節で述べられた政治的シナリオの変化に適合すべく、2000年のCHAPを改訂したものと見なされる。

可能なシナリオの提示

人道的作業グループ(HWG)は、次の二通りのシナリオを練り上げた。そのうち2番目がより実現性が高く、したがってCHAPもこれに基づいている:

シナリオ1
朝鮮半島における新たな和解に対応して、全般的な経済状況が大きく改善され、2001年の間に人道支援のニーズが減少する。そして徐々に人道的活動の規模が縮小され復旧・開発計画および政策へ急速な転換が行われる。

シナリオ2
朝鮮半島における緊張緩和が継続しDPRKに対する長期的視点に立った支援や投資が徐々にであるが持続的に行われる。制裁はさらに緩和され経済の見通しが良くなる。一方,そこからの便益を人々が直ちに享受できるわけではなく、人道上の危機的状況は継続する見込みである。 2000年の末に食糧と収穫調査の結果が判明した後では、食糧支援の数量を増加させることが必要かも知れない。少雨と台風被害のような引き続く不安定な気候の影響は、高地の森林伐採や侵食によって悪化しており、これらに対する人道集団のすばやい対応が求められつづけるであろう。人道団体にとっては、立ち入りや移動可能性に関して問題は残るであろうが、改善は予想される。


A. 力量と能力の分析

2000年にはDPRKで活動する組織と国際的スタッフ数が減少した。同時に国内に残留した国際組織が得た経験は増大した。CHAPの文脈において、現存する団体の力量と能力は、下記のような制約を念頭に置かねばならないが、CHAPの過程で設定された難題に対応するために十分なものであると考えられている。同時に今度の要請では、人道集団の活動が長期的視点からの復興と開発を通じて支援される必要があることを認識しているが、それらは様々な分野にわたっており、それぞれについて異なった力量を要するものである。そこにはエネルギーと、保健、水道、下水、工業生産のためのインフラストラクチャ開発が含まれる。またAREP(農業復興・環境保護プログラム)への寄付の更新も求められる。

現在(2000年10月)、17の常駐団体と、FALU(食糧援助リエゾンユニット)を通じて活動する4つのNGO、そして他の団体による不定期の滞在を合わせて、90人の国際的、および172人の国内スタッフがいる。通常、プログラムの実行は該当する政府の担当部局−大部分はFDRC(洪水災害復旧委員会)の中央、道、郡事務所−により支援される。国内に同時に滞在できる国際的人員の数に関して政府が加える制約は、より完全な形で効果的にプログラムを実行することを一部妨げている。制約の多い条件で働くことを厭わないスタッフを確保することの困難と、すべての機関とNGOのスタッフの頻繁な異動が、上述の問題を悪化させている。人道集団にとって容易な環境を構築し、復旧プログラムを有効にするための鍵は、作業上の制約に関する知見を蓄積することと、政府に対する開発支援を行う上で求められる様々な条件について国内の当局者が理解をより深めることである。


B. 人道活動の原則

DPRKに対する人道原則は1998年に作成された。2001年要請の目的に照らし合わせても、この原則は依然として有効である。それらは次の通り:

1. 査定されたニーズに沿って国内の全般的な人道状況に関する知識;
2. 最大のニーズを持った人々に援助が届くことを保証すること;
3. 査定、モニタリング、そして評価のための立ち入り;
4. 立ち入りの認められる地域に対してのみ援助が配分されること;
5. 国民の人道的利益を保護すること;
6. 地域的能力開発に対する支援;
7. プログラムの計画や実行における受益者の参加;
8. 国際的スタッフにおける十分な能力;
9. 国際的人道団体の保健と安全ニーズに適合すること.

それぞれの原則に対して設定された基準の達成状況のモニタリングに関しては付録に示されている。加えて、DPRKにおける人道集団によって二つの合意文書が作成された。両文書は人道原則の遵守を主張している。定期的に行われた政府との会議を通じて、先導すべき領域におけるわずかな改善がもたらされた。同時に大きな改善の余地も残されている。


C. 目標

2000年の目標を振り返って、HWG(人道作業グループ)はCHAPに対する寄付者の反応を考慮した。乏しい反応を受けて、HWGはそこで提示された目標が寄付者に信用されているのかどうか疑問を持つに至った。グループのメンバーの経験から、目標はDPRKにおける人道集団の目的や共通の戦略に沿ったものであると考えられている。しかしHWGから戦略的メッセージを寄付者集団や政府に対して明らかにするため、表現や目的設定、目標に対するモニタリングを、2001年要請の文脈に沿っていくつか修正を行った。

目標1 2/3 年
すべての段階に関与することにより、DPRKが住民に十分な食糧、保健、水道と下水、そして初等及び幼児教育を提供する能力を強化する。

目標2 1年
特定の人道部門における直接的な人道的関与と基礎的サービスの提供を通じて、最も脆弱な集団のニーズを可能な限り満たすこと。

目標3 3年
現在のところ人道集団は、インフラストラクチャや体制上の問題に対処する能力も力量もないが、これについて復興と長期的開発プログラムの確立に関して、復興・開発担当者、政府、関係省庁と共に取組む。

目標4 1年
CHAPの計画作成、実行、モニタリングと評価にあたって、分野をまたがる問題に対しては包括的な取り扱いを保証する。これはジェンダーなどのようなテーマに関する機関やNGOの行動計画の作成を通じて行われる。


D. 諸部門

CHAPのこの部分では、上のC.で示された目標を満たすため、主要な部門において明らかになった問題や提案された戦略に関する情報を提供する。脆弱性の原因、特に長期にわたる激しい栄養失調の問題に取組むには多部門にわたる取組みが求められる。もし複合的な因果関係を持つ脆弱性に効果的に対処するのなら、食糧援助、農業,保健、水道、下水そして教育プログラムは総合的な全体戦略のなかに統合される必要がある。同様に、復興や開発プログラムを通じて長期的問題に対処するには、人道活動家と復興活動に従事する者たちの間の戦略的結びつきが求められる。例をあげると、食糧援助を利用したWFOによる「労働のための食糧(FFW)」プロジェクト、FALUを通じて活動する非駐在NGO、そして環境保護と農業復興のためのUSのPVOC(民間ボランティア団体連合)のプロジェクトは、AREP(農業復興・環境保護プログラム)のもとでの重点とされる活動を支援している。対象を絞った多部門介入と、国連諸機関、NGO、二国間寄付者および政府との間の密接な協力と協調を通じて、以下のような分析で明らかになった問題に対処することを目的としている。

D.1. 食糧保障

D.1.1. 農業復興

情勢分析

2000年7月に発表されたFAO/WFPによる食糧収穫調査の暫定報告によると、1999/2000年度においては、1999年後半に示された数字に比べ、 52,000トンだけ(脱穀済み)穀物の入手量が減少したものと推定される (注5)。これに対して食糧,飼料や他の用途(収穫後の減損分も含む)のための必要量は(脱穀済み穀物に換算して)4,751,000トンであると見積もられており、1,331,000トンを1999/2000年度に輸入する必要がある。このうち、当該年度の商業輸入は210,000トン程度であり、配送済みか配送中の食糧援助による輸入は586,000トンなので、535,000トンが満たされないニーズとして残されている(注2も見よ)。

(注5) 推定値の修正が行われたのは、主として冬/春小麦と大麦の収穫が減少したためであり、これは1999年11月のFAO/WFP食糧供給・収穫調査において推定されたよりも栽培面積が減少したことによる。

政府のAREP(農業復興・環境保護)プログラムは、DPRKにおける農業部門の持続可能な復興の出発点である。プログラムは農業部門に関わる駐在機関、非政府および二国間組織により支援されている。2001年の要請にはAREP枠組みの内容も含まれている。FAOとUNDPによって2000年に資金が求められた、二毛作プログラムは89,000haで152,000トンの冬麦と大麦を追加的に供給した。ジャガイモ栽培は引き続き重視されており、政府は2001年にそれのさらなる拡張に対して高い優先順位を与えている。ジャガイモ生産のために使われた土地は、二毛作と主収穫を含めて、延べ187,000haになる。生産量は1,963,000トンであり、穀物換算で490,750トンである(注6)。農業実務と収穫を向上させるための現行の支援によって、現在の慢性的食糧危機が中期的には減少するであろう。同時に、AREPの定義した目標に到達するためには、環境保護についても考慮されねばならない。

(注6) 4トンのジャガイモが1トンの穀物と等しい栄養価を持つものと計算される。

農業復興のための戦略はAREPプログラムを支援することに焦点をあてる。二毛作や通常の穀物生産を強化するための大規模な外部からの投入は、国連機関や二国間の経路を通じて送られてくるものと予想される。同時にNGOによる活動や常駐の二国間組織は、農場で行われる多くの草の根的作業の最前線にありつづけるであろう。一方,能力開発は戦略の中で依然として重要な要素である。新しい農業技術の導入の際の技術指導は、集団農場の農民や技術者のための訓練として重要視されている。FFW復興活動における訓練プログラムは、プロジェクト構成や実行における改善をもたらし、現地責任者の国際団体に対する理解を深めるとともにそれらと交流を促すであろう。

農業復興部門における参加主体は、FAO, UNDP, WFP, EC DG/DEV, Deutsche Welthungerhilfe (German Agro-Action) (DWHH/GAA), Swiss Agency for Development and Cooperation (SDC), Children's Aid Direct (CAD), Cooperazione e Sviluppo (CESVI), Concern Worldwide, PMU Interlife そして Caritas Hongkongである。

D.1.2. 食糧保障

DPRKにおける食糧危機は、危機のピークであった1996/97年以来、かなり減少したが、上述の2000年7月FAO/WFP食糧収穫調査によって明らかになったように、食糧不足は依然として存在する。DPRKに対する食糧援助の主たる送り手であるWFPは、主として食糧不足となる季節に食糧危機に遭う750万人を対象としている。この数字には、国内のほとんどの児童と妊娠中あるいは授乳中の女性、50万人の高齢者、そしてFFWに従事する人々が含まれる。2000年9月末までに、WFP,NGO,そしてECの DG/DEV(開発総合本部)などの二国間寄付者を通じて、63万トンの食糧援助のほとんどが食糧ニーズのギャップを満たすために分配されたことが知られている(注7)。

(注7) なおEC DG/DEVは2000年の中盤に二国間食糧援助を停止した。 

CHAPのもとでの食糧援助戦略は、生命を救い栄養状態を改善することを目指している。WFPとUNICEFは密接に協力して、2歳以下の児童およそ25万人に穀物とミルクの混合食品を供給を継続することになっている。1999年に開始した混合食品の現地生産は2000年には拡大され、2001年にも継続する。食糧援助の約25%は、FFWプログラムに配分される。これは、AREPを支援する農業復興活動のための、労働に対する報酬として食糧を割り当てることを通じて、食糧不足に苦しむ人々を支援するものである。FFWに配分された内の10%ほどが女性の事業を対象としている。過去において、これは男性によって事業が立案され、女性によって実行されるものとされていた。2001年にWFPは、事業が女性によって立案され管理されることをめざしている−そこでは世帯レベルの食糧保障の改善を支援する事業に焦点をあてている。残りはWFPや政府によって指定された他の脆弱な集団を対象としている。FALUを通じて活動する非駐在NGOの支援活動は、引き続き、妊娠中あるいは授乳中の女性、児童施設、および東北部における雇用不足の労働者への支援に集中することになる。計画、実行、モニタリング、評価のすべての領域において、データを詳細に見たりWFPの指示に従った脆弱性の分析を通じて、女性の戦略的ニーズについて注意が払われる。食糧援助の分配は引き続き政府によって行われ、関連する国際機関がモニタリングをおこなう。

食糧援助部門の参加主体はWFP, FALUを通じて活動する非駐在NGO, ECのDG/DEV, SDC, UNICEF そしてADRA (Switzerland)である。

活動目的

1. 指定された対象弱者集団に対する食糧供給を通じて栄養面での安全網支援を提供する。
進捗を測る指標:
−750万人の弱者たちの内、援助の届けられた人の数(男/女);
−1998年11月時点と比べた、対象住民の栄養状態の改善(男/女)(注 8);
−低体重の新生児数の減少.

(注8) 1人当たり1日2100kcal;2000年に政府とUNICEFの合同栄養調査は行われていない。

2. 政府,地方担当部局、そして部門別機関に対し、食糧生産を持続的に改善し復興するための、技術的および物的支援を提供する。
進捗を測る指標:
−1999年の収穫(穀物換算で342万トン)に対する穀物生産増加(注9);
−通常の気候条件のもとで2001年に50万トンの追加的生産をめざして、穀物の二毛作プログラムを実施するヘクタール数;
−40万トンのジャガイモ収穫の増加;
−提供された物的支援の量(種、肥料、殺虫剤、灌漑システムなど)
−訓練を受けた地方および中央のスタッフ数.

(注9) 2000年は気候条件が悪く、当該年の総農業生産に負の影響を与えると予想されるので、1999年の収穫が用いられる。

3.持続的な自然資源の管理という視点から環境保護の向上に寄与する。そのため土壌保全、土壌防護、再植林と訓練を通じて、環境復旧のための物的支援と能力開発の支援を行う。
進捗を測る指標:
−環境保護政策の実施を拡大;
−2001年に再植林する対象となる30,000haのうち、再植林された割合;
−森林伐採とその結果生じる地すべり、貯水池の沈泥の抑制;
−訓練を受けた地方および中央のスタッフ数.

4. 政府が突発的な自然災害に対処する能力を向上させるための支援。
進捗を測る指標:
−災害予備のため訓練を受けたDPRKの赤十字社と政府職員の数;
−備蓄された緊急物資の利用可能性増大;
−地理情報システムの運用.

D.2. 保健と栄養

情勢分析

保健と栄養部門の全体的な状況は2000年の間に目に見えて改善しなかった。政府や寄付者はいずれも保健と栄養部門よりも食糧と農業復興部門をより重視している。このことは、たとえば国家予算からの資金と寄付者の支援が低水準であることからも明らかである。厳密なデータはないが、現地調査や報告によると、下痢と急性の呼吸器疾患が依然として児童の二大死亡原因である。家族や介護者が子供たちを清潔に保ち感染を防ぐのに苦労しており、清潔な水と衛生器具の不足は、上述の死亡率増加の原因となっている。1998年の栄養調査において、2歳以下の子供たちは特に脆弱であると認められた。未熟児や低体重児(2.5kg未満)の蔓延は、妊娠中あるいは授乳中の女性が依然として栄養失調であり,子供たちが生まれたときから脆弱であることを示唆している。このような初期の問題は、母乳の問題や後には補助食品の供給不足によって悪化している。詳細なデータは提供されていないが、現在の状況は出産時の死亡をもたらしやすくする。

1999年に行われた定性的調査によると、妊婦のおよそ1/3が貧血に苦しんでいる。1993年から1996年の間に貧血の割合は6%から23%に増加し、1998年には35%であったと報告されている。現地からの報告によると、激しい衰弱は減少したものの中程度の慢性栄養失調は依然として懸念されている。ヨウ素不足疾患(IDD)は依然として全国民の問題である。定期的免疫とそれに関するキャンペーンの結果,免疫の普及が改善された。しかし不適切な低温輸送、交通と燃料の不足、ポリオ根絶のための急性麻痺に対する弱体な監視体制、普及監視と「拡大された免疫プログラム」対象疾患監視の貧弱さが大きな問題として残されている。

政府の統計によると、マラリア症例は1998年に2100;1999年に97,000; 2000年に95,600であった。過去二年間症例数が相対的に一定であるという事実は、改善された診断と治療法により、発症が抑制されている状態であることを示唆している。より有効な抑制プログラムは資金不足により制約されている。結核(TB)は公衆保健上の懸念材料となっている。2000年における報告症例は70,000から100,000の範囲である。これまで750万人に対して導入された、直接診察治療短期コース(DOTS)戦略は、痰検査のような現代的で費用対効果の高い治療方法を用いており、今ではよりよく受け入れられている。政府データによると、人口10万人あたり死亡率が1998、1999、2000年のそれぞれについて 50,70,120であり、同じ期間の新たな発症が30,40,60である。このような増加傾向は、薬品が利用可能となったことで、保健サービス供給者による治療法の改善と、治療を求める人の数の増加を反映している。

あらゆるプロジェクトの活動において、予防や診療実務の能力開発および看護士や保健士の技能を重視する必要がある。基本的薬品、ワクチン、薬の現地生産のための原材料、および分娩室と手術器具など、設備や医療品の不足が続いている。家族計画のための物品や器具も求められている。この国は、これらのニーズを満たすために多くを国際的支援に頼っている。

保健と栄養部門の戦略的方針は、当該部門の様々な分野における技術支援、また薬品,ワクチン、医療器具や家族計画用品などその他の物資の供給、そして現地の能力開発のために国内外の国民を訓練させることである。地域社会を機能させるため、情報・教育・交流(IEC)のための材料開発を、2000年の成功の上に継続するであろう。朝鮮の伝統的な薬品に関する研究;薬品と栄養食品の生産するための地域的能力も支援されるであろう。WFPのビタミンA配合油から得られる補助的な微量栄養素、およびWFPとUNICEFから供給される原料を用いて現地生産される微量栄養素配合ビスケットと混合食品を通じて、脆弱な人々の健康と栄養を保証することに特段の注意が払われる。プログラム作成においては、すべてのプログラムにおける女性と子供特有のニーズに着目して、入手可能なデータによるジェンダー分析が行われ、可能なところでは、モニタリングや影響評価を目的として、ジェンダーに関する詳細なデータが利用される。

保健と栄養部門の参加主体はWHO, UNICEF, UNFPA, WFP, UNDP, IFRC, Cap Anamur, Diakonie Emergency Aid, CARITAS およびCADである。

活動目的(注10)

(注10) 与えられる指標は保健・栄養部門のプログラムの進捗をモニタリングする際に重要と考えられるものである。しかし多くの指標は、政府からの適時かつ正確な情報提供に依存している。このことが問題として残されており、したがって2000年にCAPの戦略および運用の最新情報を発表する際、設定されたそれぞれの指標に関する情報が含まれないかも知れない。

1.ワクチンで予防可能な病気に対する免疫を全児童を対象として実施し、ポリオを根絶する。
進捗を測る指標:
−抗原別の免疫普及率;
−免疫を受けた児童と妊婦の数;
−非ポリオAFP(急性麻痺症)の率(男/女);
−AFPの内、Stool(便?)収集した割合;
−AFP症例について、腸ウイルスおよびポリオウイルスに関するウイルス分析(ワクチンあり,なし)(男/女).

2.基本的な必需的薬品を供給するとともに、主要な調合薬の現地生産を支援する。また合理的な薬使用に関する能力開発も行う.
進捗を測る指標:
−立ち入り可能な郡の内、必需的薬品の供給されている割合;
−1年中、薬を入手可能な郡と里の割合;
−輸入量と比較して,DPRK内で生産された基礎的薬品の薬品の種類別割合;
−適切な薬の使用法に関して訓練を受けた保健従事者の割合;
−標本調査において、国際基準に沿って正しく処方された処方箋の割合。

3.伝染病の監視を強化すること、および伝染病を検出し結核を防止する検査所の建設。
進捗を測る指標:
−主な伝染病に関する日常的報告の割合;
−マラリア症例の報告(男/女);
−実施された訓練プログラムの、参加者タイプと人数別、回数(男/女);
−DOTSにより診療を受けた結核患者の数;
−DOTSプログラムがカバーする郡の数/人口の割合;
−症例の登録率/新規の症例登録率/Smear陽性登録率/新規のSmear陽性登録率/新規のSmear陽性の転換率/再治療のSmear陽性転換率(男/女);
−治療の完了してない患者の割合;
−結核による死者の数(男/女);
−DOTSプログラムのカバーする、立ち入り可能な郡において、結核薬の入手可能性(年間)。

4.安全で清潔な分娩を保証するため、往診と迅速な交通サービス支援の強化すること、および郡や道レベルの出産施設で生殖医療や家族計画を推進すること、そして「安全な母性(SM)」、生殖医療(RH)と関連するIEC(情報・教育・交流)教材の作成に関して、保健従事者を訓練する。さらには、特定の縁辺農村地域において産科婦人科診療のための立ち入り可能性を拡大する。
進捗を測る指標:
−避妊、基礎的薬品と器具の供給量と種類;
−安全な分娩のための医療設備が整備された病院の数;
−SM(安全な母性)/RH(生殖医療)および家族計画に関して訓練を受けた保健職員の数;
−移動可能な産科婦人科診療施設の提供される割合;
−小児疾患、免疫、母子の栄養、児童の成長、および開発・生産・流通するRH/FPに関するIEC教材の数;
−サービス範囲(施設別);
−指定された縁辺部の農村への訪問回数;

(i)1998年栄養調査の追跡調査を行うことにより住民の栄養状態に関する最新のデータを得る
(ii)著しく栄養失調の子供たちを回復させ、栄養回復を行う対象施設において子供に適した環境を創る
進捗を測る指標:
−政府と国際機関の合同栄養調査が行われたか,結果について合意し利用可能か;
−治療用ミルクの計画に対する供給量の割合;
−適切な栄養回復を実施した施設の数;
−指定施設において配られた治療指針と記録用紙の数;
−強化された食糧の現地生産の計画に対する実績量と、栄養回復に配分された量;
−治療を受けた児童の数(男/女);
−提供された衣料、オムツ、毛布、給食、調理器具と玩具などの数と対象人口当たりの利用;

5.子供と妊婦および授乳中の婦人の微量栄養素不足疾患を抑制する。
進捗を測る指標:
−ヨウ化塩生産の計画達成率;
−年2回ビタミンA剤を与えられた子供と妊婦および授乳中の婦人の数;
−子供(男/女)と妊婦を対象とした総合ビタミンと鉄分錠剤の数;
−現地生産された強化CSB(トウモロコシ大豆混合食品)、HEB(高エネルギー配合食品)および麺類の生産計画に対する量;
−強化された補助的食品供給の対象となり、それらを利用する児童(男/女)と婦人の数;

D.3. 水道と下水

情勢分析

DPRKの水道と下水部門に対する関与は、必然的に限定的なものであった。同時に水道と下水システムの劣化は国内の多くの健康問題の原因であり、別の形で人々の生活に大きな影響を与えている。特に女性が影響を受けている。彼女らは水源から家まで水を運ぶこと、衣料を川で洗うこと、家庭での消費生活に適合するような水を確保すること、そしてしばしば水を沸かすための燃料を集めるための追加的労力を求められている。さらには、生殖上の観点から、女性は水道供給の制限や貧弱な下水に対して特に脆弱である。

栄養失調は、食糧不足だけでなく、清潔な水や衛生的な下水設備の利用が困難であることが原因となっていることもしばしばである。モニタリングのための訪問によれば、第2回多指標層別調査(MICS2)の公表まで客観的データはないものの、下痢の発生が増大しているようである。

1999年末にDPRKからOXFAMが撤退したことは、人道集団の対応能力を低下させるという影響をもたらしたが、現在IFRCとUNICEFが水道と下水部門における施設レベルの問題に対応すべく活動を続けている。彼らの活動は、ECHO(欧州委員会の人道事務所)から資金を受けて、国内の様々な場所で衛生プログラムを実行している、NGOによって補完されている。

この部門の人道的関与は、問題の一部に対処するだけである。DPRKにおける水道と下水インフラストラクチャは著しく荒廃している−システムの物的施設を修復するには数十億ドルを要するであろう。森林伐採による水源の劣化もまた全体的な水供給に負の効果を及ぼすものと考えられる。また農業地域における地表水の水質を悪化させる,過度の化学肥料使用も同様である。全体的な水質を維持するためには年間7000トン程度の塩素を要する−現行の人道プログラムで可能なのは、1999年の2000トンよりもかなり減少して、2000年に500トンである。化学物質の著しい不足により、家庭に化学処理なしで送水されている。電力供給の切断は下水システムの遮断と水道の逆流を引き起こすことにより、既に老朽化したパイプをさらに痛め、パイプの水漏れを引き起こすに至っている。下水と上水のパイプはしばしば同じ溝に配置されており、水道水が下水によって汚染される可能性がある。いくつかの地域では管の配置を示す図面が失われたり、戦争中に破壊されたので、問題がより深刻化している。煮沸による家庭での殺菌は、燃料や電力不足により困難である。国内の80%もの便所は掘り込み式であり、したがって「開放式」なので、子供が遊ぶ居住地域へ漏れたり溢れることとなり、ハエや他の害虫を繁殖させる。これに対し石鹸や洗剤の供給は不足している。

この部門の戦略は、最も脆弱な集団に対してできるだけきめ細かな関与を行うことである。すなわち児童施設、病院に対する支援を提供し、そして2001年には初めて特定の地区に活動を拡大する。さらに諸機関は、砂ろ過のような、代替的技法を用いることをめざしている。直接的関与と合わせて、関心を持った施設や政府部門における訓練や能力開発を行う。人道集団は水質を検査する地位を望んでいるが、これはこれまで不可能なことであった。政府はこの部門においてマクロレベルの関与の方が望ましいと考えているが、現在のところ、国際機関側の能力の限界と援助額の不足のため、大規模な活動は不可能である。

水道と下水部門の参加主体は、UNICEF, IFRC, ECHO, EC DG/DEV, Concern Worldwide, CAD, CESVI, DWHH/GAA, ADRAである。

活動目的

1.指定された施設や集落において対し量,質ともに十分な飲料水を供給し、下水衛生設備を改善する。
進捗を測る指標:
−塩化カルシウムを受けて使用する水処理場と防疫施設の数;
−水浄化錠剤を受けて使用する児童施設および保健施設の数;
−清潔な水を出す掘り抜き井戸の稼動数;
−水道および下水設備の更新を行った施設の数;
−腐食し損傷した管の取替えを行った集落と施設の数.

2.不適切な水道に関連する公衆健康リスクに対応する体制を強化するため、水質を監視する現地の能力を改善する。
進捗を測る指標:
−化学物質や試薬を受けて使用する検査所の数;
−それぞれの地域で訓練を受けた人の数(男/女).

3.衛生実務の改善を推進する。
進捗を測る指標:
−建設された水洗便所の数;
−開発され配られたIEC教材の数;
−配られた個人的衛生品(石鹸,シャンプーなど)の数と洗剤の量(男/女)。

4.安全な水、適切な下水と個人レベルで衛生状態の改善を達成するための、訓練および啓蒙プログラムにより能力開発を行う。
進捗を測る指標:
−訓練を受け,また獲得した知識を普及させている人員の数、種類、性別。

5.当局と共同で水質検査を行う。
進捗を測る指標:
−該当する政府部門と共同で行った検査の回数。

6.政府と援助者集団のすべてに対して、水道と下水問題を重視するよう説得する。
進捗を測る指標:
−政府レベルで議定書を作成し合意を得ること;
−2001年に援助者集団が水道と下水部門により高い割合の資金を配分すること。

7.男性と女性別の特有ニーズを考慮した関与プログラムの作成を保証する。
進捗を測る指標:
−議定書にジェンダー問題を含める。

D.4.教育

情勢分析

DPRKにおいては全員が基本的教育の機会を得ることができ、全員が識字能力を持つことはこの国の教育システムが達成した最大の成果である。このような成果が現在は危機に瀕している。16歳までのすべての児童に対する11年間の学校教育は義務的であり、全員に等しく機会が与えられている。しかし教材の不足、現代的な教育方法論の欠如、そして時代遅れの教科課程は教育の質を脅かしている。学校への登録は完全であるが、貧弱な暖房、食糧や教育学習用品の不足、そして教師の意欲低下などにより、出席率が60から80%に低下していることが懸念されている。客観的データは入手できないが、経験的情報によれば女生徒たちの方が、この経済的苦境の間に母親を手伝って食糧を集めたり家事のために学校を中退しやすくなっている。したがって少女や婦人が教育機会の点で不利になるという歪みが拡大しているかも知れない。他の問題として、現代的教育手法に関する教師間のギャップと学習達成度の不適切な評価がある。

学校における物的インフラストラクチャは損傷しており、それらはなおかなりの修繕を要するが、このことが特に冬の間に学習環境を悪化させている。厳しい気候条件は暖房不足により悪化しており、急性呼吸器疾患や他の病気を通じて、子供たちに健康リスクを及ぼしている。教育省のデータによれば、身障者を含めおよそ60.000人の子供たちが、特別な注意を要するほど劣悪な状況下にある。

常態となっている財政制約により、政府は教育部門に十分な資金を回すことができず、全員教育において達成した既存の成果を持続することが困難になっている。外的援助が優先的に求められる分野は、物的インフラストラクチャの補修、多く求められる印刷用紙の供給、教員の知識と技術の向上、教育課程の更新と特別な保護策を必要とする児童への支援などである。心理社会的成長や子供の健康と成長のモニタリングなどの早期幼児期もさらに重要視される必要がある。

UNICEFは教育部門への支援を行ってきたが、過去数年間の資金提供が低迷しているため、計画されたプログラムの多くは執行されていない。この制約はプロジェクト執行の滞貨と遅延をもたらしており、質の高い基礎教育を実現するための活動を阻害し全員教育という目標に向けた前進を妨げている。

学習環境と教育実務を改善するための戦略は、啓蒙、能力開発、サービスの分配と連携に関する努力を組み合わせることである。遠隔の山間地や島嶼部の分校や寄宿学校の子供たち特有のニーズに対応するための特別の支援も提供する。教科書や他の教材のための印刷用紙の提供を行う。教育方法の改善と学習達成度の評価をめざして、教師の訓練に対する支援を行う。

活動目的

1.学校への出席に関して性別に分類されたデータを確保する。

進捗を測る指標:
−性別に分類されたデータの入手可能性。

2.教育・学習の革新的手法に関して教員と保育職員の能力を強化し、早期幼児保育と成長を促進する。

進捗を測る指標:
−訓練を受けた教員と保育職員の数(男/女)。

3.基礎教育の質を改善するための教育課程を強化する。

進捗を測る指標:
−指導用品を含む、新しい教材の数;
−教員研修施設における新教材の利用可能性。

4.15,000人の学生一人ずつに対し5-9冊の教科書を印刷する。

進捗を測る指標:
−印刷し学生に配られた教科書の数(男/女)。

5.26の児童施設と256の分校で物的および心理的刺激を与えるための設備を提供する。

進捗を測る指標:
−各施設に提供された教材の数量。

6.12の孤児院、14の寄宿学校と256の分校における小規模な修復作業

進捗を測る指標:
−修復された孤児院、寄宿学校と分校の数

D.5. 調整

情勢分析

DPRKにおける人道団体に対する調整の仕組みは確立されている。UN人道調整員は、UN諸機関によって行われるプログラム活動がCHAP(共通人道活動計画)を支援するものであることを保証する。HWG(人道的作業班)は、NGO,二国間組織、援助者、および外交官たちなど、国内に駐在する広範な人道集団から構成されており、CHAPの執行状況を点検するため定期的に会議を行う。設定された目標を満たすことをめざして調整を行う手法は、調整戦略の基本である。政府との調整は、人道調整員の支援を受けながら、各機関が個々に行う。AREP(農業復旧・環境保護)の枠組みでの調整は円卓会議の形で行われる。人道/常駐調整員は二重の役割を果たしていて、作業段階ではNGOや二国間援助者(国内のECやSDC(スイス開発公社)そしてIFAD(国際農業開発基金)とOPEC)との良好な連携を組み合わせており、すべての分野の人道的および農業復興活動において、切れ目のない取組みを保証している。このことはUNDPの技術支援部とFAOの参加、農業サブグループとの定期的会合を通じて行っている。

週毎の機関間会合や定期的な隔週ごとの部門別サブグループ会議(農業、食糧援助、保健、水道・下水)の開催を通じて、日常的な調整と情報共有が図られている。ジェンダー問題は、月毎に開かれるジェンダー・テーマ・グループの会議で処理される。

OCHA(UNの人道問題調整事務所)は日常的な調整を補佐し、CHAP作成とその戦略的および実務的モニタリングのまとめ役である。またOCHAは月毎の最新情報を「人道情勢広報」(HSB)に載せ、そこで特別報告として添付される、部門別の問題に関して援助者集団および国際的報道の関心を引きつける。OCHAは、常駐NGOへのつなぎ資金を提供する、NGOの資金提供機構を管理するとともに、定期的なジェンダー・テーマ・グループ会議を主催する。

活動目的:

1.2001年の合同要請と共通人道活動計画のモニタリングを推進する。

進捗を測る指標:
−四半期ごとに戦略的および実務的モニタリングと談話が援助者集団に届けられたか.

2.人道的作業グループ(HWG)に対して事務局的サービスを提供する。

進捗を測る指標:
−HWGが2001年のCHAP/CAPの仕上げ,モニタリング、評価に参加したか。

3.DPRKの人道情勢に関する情報を公開する。

進捗を測る指標:
−刊行された月毎の人道情勢広報。

4. 2001年にNGO資金調達機構を拡大

進捗を測る指標:
−援助者からの総資金を100万USドルにまで増やす;
−資金提供を受けたプロジェクト数の増加。

5.政府が全面的に人道的調整に関与するよう働きかける

進捗を測る指標:
−人道的調整活動において訓練を受けた政府担当者の数;
−政府(省庁)とDPRK内の人道集団との交流の増大。

6.政府、開発団体および援助者に対する啓蒙を通じて、復興および開発の資金提供を促進する。

進捗を測る指標:
−DPRK内に開発援助者の存在と活動の増加。

D.5.1. 食糧援助リエゾンユニット(FALU)

FALUはWFPの一部署であるが、4つの非駐在NGO(Action by Churches Together, Canadian Foodgrains Bank, Caritas および World Vision International)の活動を調整し、それらに代わってプロジェクトを執行する。ほとんどのプロジェクトは食糧援助に集中している。ユニットはWFPプログラム職員とともに、受益者グループとニーズのある道を特定する作業を行う。このことにより補完的アプローチが可能となり、努力と資源の重複を回避することができる。そしてニーズをもとにプロジェクトが援助者と共に計画される。FALUは食糧が同国に到着した時からその輸送を追跡し、食糧の分配、利用とその効果をモニターするとともに、個々の援助者に対する最終報告を作成する。モニタリングを実行する際には、下部事務所に設置されたWFPの地域チームと密接な共同作業を行う。WFPのモニターは懸案のFALU配送について勧告を受け、その分配や利用に関して記録を取ることができる。このことはFALUを通じたNGOの配送をモニターする能力をかなり拡大させた。FALUは、それ自身の現地作業の間、WFPの食糧に関するモニタリングを行うことによって、報いている。

FALUを通じて活動するNGOは、WFPの食糧現地生産を支援しており、就学児童のためのビスケット製造の成分や栄養不足の病人のためのRMB(米・牛乳混合食品)を供給してきた。FALUの援助者たちは農業の生産要素や冬用の衣料を提供した。これらは常駐NGOによって彼らの活動領域で分配された。常駐NGOは計画段階における専門技術を提供し、これらの非食糧物資の分配と利用をモニタリングする。まもなくCaritasによって提供されWHOに引き渡される病院用医療品は、受益者段階で FALUによってモニターされる。


E. 優先順位付けの規準

要請に含まれるプロジェクトは、次の条件を満たし、審査を通過したものである:

(a) CHAPの目標に沿っており、人道的作業グループが合意している;

(b) 設定された目標と部門別運用目的を支える;

(c) 能力開発の要素を含んでいる;

(d) 関連するところでは、男性と女性の性別のニーズを考慮している;

(e) 実行可能性を保証するのに十分な(人的および物的)資源が与えられている;

(f) 可能なところでは、要請に含まれない活動と連携している(たとえば農業部門においてAREPを支援するなど);

(g) 合意された人道原則と矛盾しない。


F. 他の人道的および開発プログラムとの関係

1.農業復旧と環境保護プログラム(AREP)

AREPプログラムは、DPRKにおける農業部門を復旧し環境保護の問題に対処するための対策の総合的な集合体であるが、FAOとUNDPの支援を受けて政府によって計画される。それは次のようなものから構成される:

−投入サブプログラム:種、肥料、殺虫剤および農業機械器具の供給を通じて農業生産増大の支援を図る。
−農村復旧サブプログラム:特に破壊された防波堤や二毛作プログラムの強化を支援する。農村復旧活動では、農業生産を増加すると同時に環境の保護を可能とすることをめざして、土地利用計画の作成も行う。
−森林と環境保護サブプログラム:燃料不足の結果生じた激しい森林伐採の影響を軽減するための植林を受け持つ。
−AREP支援と能力開発サブプログラム:種の生産、機械保守、そして実行可能性調査の完了、農業の技術革新活動を支援する。

AREPはUNシステムによって支援されており、UNDP、FAO、IFADとWFPそして二国間援助者とNGOから物資の提供を受けている。2001年の合同要請に含まれるプロジェクトは、AREPプログラムの実行を支援するよう計画されている。

2. 国際農業開発基金(IFAD)

IFADは穀物と家畜生産の復旧プログラムを継続して行う。これによって、特に女性が世帯主の家計は肉と乳製品を増産するため信用貸し (credit)を受けることができる。さらにIFADは「高地食料保障プロジェクト」を準備しており、2001年に実行することになっている。このプロジェクトは、ジャガイモや他の生産性の高い穀物と農業実務そして環境面でより持続可能な土地利用管理の導入のため、共同農場ですでに進行中の活動を促進させることにより、食糧を増産させるであろう。進行中のIFADの「穀物・家畜生産復旧プログラム」のもとで試験的に行われたと同様の信用貸しプログラムを通じて、共同農場の組合員家計への補完的支援が提供されるであろう。WFPはFFWプログラムにより支援し、UNDPは技術支援を提供することになる。

3. PVO(民間ボランティア団体)コンソーシアム

メンバーがDPRKにおける常駐資格を持たないPVOCは、年の初めに段階Vの活動を実行した後、2000年の5月に撤退した。PVOCは農業復旧を支援するFFWに取組んでいた。

4.NGO資金調達機構

NGO資金調達機構は、SIDA(スウェーデン国際開発庁)を経由するスウェーデン政府の資金を用いて、2000年に4つのNGOプロジェクトを支援した。2001年には資金の規模を増加させ、常駐NGOによる短期的あるいは新しい活動のためにつなぎ資金の提供を継続・強化することが望まれる。すべてのプロジェクトはCHAPの目的を支持するものでなけねばならない。2000年の支出明細は付録VIIIに示されている。

5.食糧援助リエゾンユニット(FALU)を通して活動するNGO

4つのNGO(Caritas, the Canadian Foodgrains Bank, World Vision International and Action by Churches Together)がWFPの食糧援助リエゾンユニットを通して活動している。ユニットはCHAPの作成に全面的に参加しており、FALUのNGOによる活動はCHAPの目的を支持するよう計画されている。FALUのNGOに関する詳細な情報は付録Vで与えられている。

6.UNICEFの協力プログラム

このプログラムは、UN機関のプログラム周期に合わせて、2001‐2003年の期間にわたる。ここではCHAPとプロジェクト概要で述べられた緊急対策のための全体的に戦略的かつ相補的な枠組みを与え、国民の能力開発、データシステムの構築、そして女性と子供の権利拡大を重視している。

7.二国間援助者

7.1 欧州委員会(EC) - 開発総本部

2001年にECの開発総本部(DG/DEV)は、主として土地保全、灌漑の復旧、そして標高の高い傾斜地での持続可能な保全と植林のための多数のプロジェクトを通じて農業復興を支援する。農業設備の修復と水力発電装置の支援も予定されている。AREPの目的を支援するため、およそ 80,000トンの肥料がこの国に供給される。またDG/DEVは水道と下水部門でUNICEFと合同プロジェクトを実行するだろう。ECのDG/DEVによる中核的プログラムに加えて、総額30,000,000ユーロの支援が、国内に常駐する5つのヨーロッパ系NGOを通じて提供される。

7.2 欧州委員会−人道局(ECHO)

DPRKにおける人道プロジェクトの実行条件について政府に対する懸念が表明されており、DPRKに対する2001年のECHOプログラムと資金の水準は、2000年にNGOによって行われたプログラムの成果に依存している。 2001年のプログラムはヨーロッパのNGOを経由して行われる。ECHOは CHAPの目標と部門別目的を全面的に支持している。

7.3 スイス開発協力庁 (SDC)

2001年におけるSDCの活動は、二国間およびNGOを通じて、米、冷凍肉、ベビーフードなどの分配に集中する。農業部門においてSDCは、黄海北道のミル高地において進行中の持続可能な農業プログラム、ジャガイモ種の生産、トウモロコシ種の生産、二毛作プログラムのための物資とDPRKへの新種の果樹の導入などを通じて、AREPを支援している。またSDCは衣服の現地生産、低燃費ストーブの開発と生産、作業靴、ゴム靴、子供靴の生産も支援している。農業専門家への技術指導と能力開発訓練も提供される。

G. 部門別目的を評価する指標

モニタリングマトリクスが2000年に確立され、2000年のCAPと2000年の CAP中間評価の両方で使われた。2001年のマトリクスとモニタリングシステムに対しいくつかの改善がなされるであろう。それらはより定期的な進捗の評価や部門別モニタリングを上で作成された目標と結びつけることなどである。


【合同要請書、27頁まで】