特別報告

朝鮮民主主義人民共和国へのFAO/WFP 収穫と食糧供給査定使節団

2000年11月16日

http://www.reliefweb.int/w/rwb.nsf/6686f45896f15dbc852567ae00530132/
60011ab750aaa541c12569990047e559?OpenDocument


1. 概観

1995,1996,1997年の災害後、1998年及び1999年は緩やかな国内食糧生産の回復が見られ、農業にとっては相対的に安定した2年間であったが、2000年には食糧生産が再び不調に陥った。これは収穫期間の決定的な時期(特に田植えや種まき)における旱魃と、農業部門の基底にあって生産を制約しつづけてきた問題の累積効果との組み合わせによって生じたものである。これらの制約のうち最も重要なものは電力と燃料の不足であるが,これらは灌漑と水道システムを大きく妨げ、栽培期間の重要な時季に貯水池や農地における水不足をもたらした。これらにより、米やトウモロコシの生産性および生産量に相当な減少が見られた。

今年は近隣の中国や中央および南アジアそして中東の多くの国にも旱魃が生じた。この連鎖反応はおそらくDPRKにおいてより一層不吉なものである。なぜならこの国は実質的に1年間に1回しか食糧を栽培できないこと(6月-10月)と、農業部門における投入物問題が長期にわたる上、すでに深刻な食糧不足の最中であるためである。その結果、次の収穫期である2001年9月/10月まで国内生産を通じて食糧供給を向上させる現実的可能性はないこと、そして食糧を商業的に輸入する資源が限られていることから、この国は今後12ヶ月間、これまでの5年間そうしてきたように、食糧援助に大きく頼るほかの選択肢をほとんど持たないようである。

6月にあった先のFAO/WFP使節団は、季節の始まりにおいて今年の収穫が不調であることが予想され、回復は7月と8月の雨季における降雨に大きく左右されると警告した。6月の使節団はまた、収穫と2000/01年に対する食糧供給展望を完全に評価するため、次の使節団が9月末から10月初めにかけてDPRKを訪問することを提言した。しかし10月初めの朝鮮労働党の創立55周年記念式典のため、政府は使節団を10月中旬に遅らせることを要請した。最終的に使節団の日程は10月14-21日であった。このとき、トウモロコシの収穫は完了して運び去られていたし、米の収穫はほとんど済んでいて田んぼに稲わらが残されている状態であった。いくらか遅植えの米が未収穫であったが、水不足のため作物は貧弱であり、予想される生産高は非常に低そうである。したがって2000年のトウモロコシ生産の推定値は農業省から提供されるデータに基づくことになるが、米の生産については、収穫された米の現地調査、潜在的産出の査定、そして今年収穫された面積の公式推定に基づいている。その査定にあたって使節団は、主たる政府部局、国連諸機関とNGOとの議論を行うとともに、主要な農業地域といくつかの灌漑貯水池への現地訪問を行った。使節団はまた、食糧の分配・供給状況を査定するため、都市と農村の家庭、穀物倉庫と配給所、学校をいくつか視察した。

使節団の評価によれば、2000年の農業シーズンの平均降雨量は平年をかなり下回り、6月と7月の決定的な時期には平年の約40パーセントにすぎなかった。8月になると降雨量は多少回復したが、それでも平均を20パーセント近く下回った。農業シーズンの大事な時期に降雨と灌漑用水が不足したため、コメとトウモロコシの作付けが遅れるという深刻な結果となった。また代替穀物の生産のため、コメの作付面積がかなり縮小し、それゆえ収量と産出高が顕著に低落した。今年の穀物の全般的不作は、SPOT-4衛星からの画像によって実証された。主要な農作地帯における植生状態のレベルが、今年は1999年と比較して相当低いことが示されたのだ。8月のプラピルーン台風と9月のサモマイ台風が、穀物生産高の低落に追い打ちをかけた。台風はインフラと農地に深刻な打撃を与え、穀物に局地的なダメージをもたらした。

使節団は、提供された情報と自らの査定に基づき、2000年の稲の生産高を169 万トンと見積もっているが、これは1999年のFAO/WFPの生産見積もりを約31パーセント/73 万4 千トン下回っている。トウモロコシの生産高は、昨年の使節団の生産見積もりより23万5 千トン少ない約100万トンに落ちると見積られている。4万5千ヘクタールが米から他の穀物に転作された結果、雑穀(モロコシとアワ) の今年の生産高は6万5千トンとなり、1999年の約2万トンを上回った。2000/01年の食糧供給の見込みは、今年の主要穀物の生産に加えて、来年のジャガイモの生産と大麦と小麦の二毛作に大きくかかっている。現時点での不確かな予測にすぎないが、対象地域の情報に基けば、これら作物の生産高はジャガイモ187万トン(穀類47万トンに相当)、大麦と小麦が24万6千トンと予想されている。

したがって来年度の穀物の国内出来高総計は穀類換算で292万トンと予測される。一方2000/01年の食糧とその他の用途を含む穀物需要は479万トンと予測されており、187万トンの輸入が必要となる。そのうち20万トンが商業輸入でカバーされると予想され、50万トン以上が双務協定輸入で賄われると期待されている。つまり、これらを計算に入れると、朝鮮の最小限の食糧需要を満たすには、116万5千トンの支援食糧の輸入が必要と見積もられる。

必要輸入総量は1997年以来最大ではあるが、今年はそれとは対照的に、朝鮮はすでに相当量の食糧援助が約束されている。加えて、これまで比較的狭い範囲に限られていた援助者の幅も広がり、日本から50万トンの援助が見込まれる一方、韓国から協定輸入で50万トン、食糧援助として10万トンが供給される予定だ。こうした多大な貢献がなければ、来年の食糧供給の状況はきわめて深刻になるであろうことは疑いの余地がない。

使節団は、年間の食糧供給を確保する公的配給システムの重要性がこの数年間で相当衰退してしまったものの、かわって市場や他の経路を通じた供給の重要性が高まったことに注目している。このことは一方で、さまざまな住民グループ間の格差拡大をもたらした。特に食糧確保への経済的・物理的条件はさらに競争を増し、主に都市住民にとって不利となった。その兆候として、入手された情報によれば、都市住民一人当たりの穀物入手量は農村住民より20〜25パーセント少ない。加えて、家庭の食糧確保も次第に、物々交換に使える持ち物の程度や、小規模の商取引、労働点数制によって食糧割当の報酬が与えられる共同農場での仕事に頼るようになってきている。

食糧需要の査定にあたって、これまでDPRKへのFAO/WFPの穀物食糧供給査定使節団は、必要最小カロリーの2100kcalの75パーセントを供給するために年間167kg/人を判断基準としてきた。だがこの仮定は、何年間も食物摂取が満足にできず、栄養回復を必要としている多数の衰弱した人々のために、再検討されるべきだろう。この新たな必要を満たすため、将来的にカロリーのレベルを引き上げることは正当と思われる。他方、緊急行動の場合、WHOとWFPは通常、摂氏20度を5度下回るごとに100kcalを加えるというルールを勘案して必要カロリーを算出している。DPRKの平均気温は11度なので、200kcal が追加され、合計2300kcalとなる(注1)。だが使節団は、こうした正当化を裏付けるためには、できるだけ早く客観的・科学的な栄養調査を実施することが緊要であると指摘する。

(注1)WHOテクニカル・レポート724号、エネルギーとたんぱく質、FAO/WHO/UNU専門家合同会議、1985年刊、にもとづく。WHO『主要な緊急事態における栄養の管理』2000年、参照。

短期的には、食糧支援は食糧難解決のために大きな役目を担い続けるだろう。しかし中長期的展望はDPRKの農業復興能力にかかっている。その点で同国は、需要に応じた主要作物の国内生産を回復するために、国際社会からの継続的な支援を必要としている。


2.2000年の食糧生産

経済問題によって引き起こされた慢性的な農業の困難が、同国における国内食糧生産をきわめて損ないつづけている。そうした困難はここ数年累積してきて、今やおそらく生産の制約に対してこれまで以上に重大化している。電力と燃料の供給に深刻な問題が存在し、それは次に用水を確保して十分な量の水を用いる各農場の能力をひどく低下させてしまい、同時にまた機械化と輸送手段もひどく削減され、そして、肥料や他の農薬の慢性的な不足が見られる。これらのことは、次に不順な年に灌漑水を増やすことで水不足を補うための協同組合の能力を低下させつつ必要な農場作業をまったく制限して、潜在的な生産力を低下させてきた。ゆえに、今年のような不順な天候の年には生産の問題が大いに悪化し、食糧不足の可能性がかなり増大するのである。

1990年代、政府は適切な研究、計画、集中管理を通じて、そうした制約に対処する努力をなしてきたが、資本と投資の不足のため、労働生産性も土地生産性も共に急速に低下した。機械使用時間が減少し、ますます決定的な農作業を復帰不能なほどに制約するようになり、同時に近年、肥料の総使用量が土壌の適度な養分水準を維持するのに基本的に必要な量をかなり下回るほど落ち込んでいる。国際社会は二国間で、また国連機関を通じて、農業復興のために肥料や他の投入物を寄贈して同国を支援してきたが、それらの水準は農業と持続的な食糧生産を維持するのに必要な量にはずいぶん不足している。

これらの問題のために、コメとトウモロコシの産出量は急激に落ち込んだ。肥料使用量とイネおよびトウモロコシの生産量における一致した減少の様子が、下の図1および図2に描かれている。

(図1:朝鮮民主主義人民共和国:1989年〜2000年の窒素・リン酸・カリの使用量)

(図2:朝鮮民主主義人民共和国:1989年〜2000年のイネとトウモロコシの生産量)

2.1 降雨と用水量

今年の朝鮮民主主義人民共和国における天候条件はまったく作物生産の助けにならなかった。他の多くの諸国と同様、2000年の全体的な降雨は不規則で通常以下だった。農業シーズン始め頃の降雨と灌漑水の不足は特に田植えに影響し、作付け面積は計画に比べ8パーセント少なくなった。田植えされなかった農地には、コメの代わりに他の作物(モロコシやヒエ・アワ)が作付けされた。

農業シーズン始めの春期に降雨が不足したこと、それに6月、7月、8月の重要な時期を通して通常の降雨分布未満が続いたことは、また作物サイクルの決定的な時期(受粉、開花)にトウモロコシに影響を及ぼし、収穫率をかなり低下させた。入手できたデータによれば、南西部および北東部の重要な農業地帯では7月の降雨量は通常年の約38パーセントだった。8月は全体としては通常以下ではあったものの降雨量がいくぶん改善した。図3は、2000年についての代表的測定地点における平均降雨量を示しており、長期平均と対照させてある。他方、図4は総降雨量を示す。1999年の通常以下の降雨量につづき、今年のひどく少ない降雨量はまた、灌漑貯水池の補充に利用できる用水が少なくなることを意味し、そのことが次の2001年作付けシーズンの準備に深刻な影響を及ぼすかもしれない。

(図3:長期平均と対比させた2000年の降雨量)

(図4:平均と対比させた2000年の総降雨量)

2.2 2000年のイネとトウモロコシの生産

コメは主に南西部の沖積平野か灌漑を伴った棚田で耕作されている。耕作面積は過去10年、約58万ヘクタールの年間目標で多かれ少なかれ一定のままである。これは、2000年農業シーズンについても目標だったが、シーズン始めの水不足のため実際の作付け面積は53万5千ヘクタールに減らされ、4万5千ヘクタールは干ばつに影響されにくいソバ、モロコシ、ヒエ、アワのような他の低収量作物に向けられたと政府は報告している。さらに、雨不足を補うために用いられる灌漑の水位も今年はまた低く、共に生産性を引き下げた。現地視察に基づくと、今年のイネの収穫率は、十分な水を用いられる良質土壌(およそ3分の1の17万7千ヘクタール)でヘクタール当たり4.5トンから、35万8千ヘクタールをカバーするその他のところでヘクタール当たり平均2.5トンまでの範囲と、調査団は見積もっている。ゆえに、全体の加重平均収穫率はヘクタール当たり3.16トンと見積もられる(注2)。近年、イネの収穫後損失は十分な輸送手段を欠いているため、依然高率なようである。

(注2) ((4.5 t/ha × 177 000 ha) + (2.5 t/ha × 358 000))/535 000 ha

1999年にトウモロコシ作付け面積が1990年代始めの65万ヘクタールから49万6千ヘクタールへと著しく減少したと政府は報告した。その減少はトウモロコシからジャガイモへの転換のせいだった。二毛作と共にそうした作付けの転換は、特に6月から始まる端境期中の食糧供給を増やす重要な戦略と一般に見なされる。トウモロコシは大いに雨水に依存するので、2000年農業シーズンおいて降雨量不足はコメよりもトウモロコシの生産性により強く影響を及ぼした。2000年の平均収穫率はヘクタール当たりおよそ2.2トンと見積もられ、1999年のFAO・WFP調査団の事前見積もりより約25パーセント低い。

2.3 ジャガイモ、小麦・大麦、および、雑穀の生産

コメとトウモロコシに加えて、今年、約6万5千ヘクタールの他の作物、つまりモロコシやヒエ・アワが耕作され、内4万5千ヘクタールはコメの代わりだった。これらの作物は一般に投入物が少なくて済むが、降雨が不十分で用水が少ないと収量に影響し、それらはおよそヘクタール当たり1.0トンと見積もられる。1999〜2000年の二毛作計画の下で作付けられる予定の目標面積は、冬作物の小麦・大麦10万ヘクタールと春作物の大麦・小麦2万3千ヘクタールである。次の年のジャガイモ耕作目標面積は18万7千ヘクタールに設定されているが、その内10万3千ヘクタールは主要作物として作付けされ、さらに7万7千ヘクタールは二毛作での作物として栽培される。この面積の約50パーセントは両江道、咸鏡南・北道など北部諸道に位置し、残りは黄海南・北道、平安南・北道など主要農業地帯にある。2001年が平均的な年だと仮定すれば、大麦と小麦についてはヘクタール当たり平均2トンの収穫が、そしてジャガイモについてはヘクタール当たり(取りたて重量)10トンが仮定される。

上記に基づいて、2000〜01穀物取引年における穀物の見積もり生産量および予想入手量は、表1のようにまとめられる。


表1:朝鮮民主主義人民共和国:2000〜01年の穀物作付け面積と生産(注1)
作物 面積
(千ヘクタール)
収穫率
(トン/ヘクタール)
生産量
(千トン)
イネ
トウモロコシ
ジャガイモ(2000年)
小麦・大麦
(99〜00年の二毛作分)
雑穀
脱穀済み換算でのイネ(注2)
穀物換算でのジャガイモ(注3)
535
496
187

123
65


3.16
2.1
10.00

2.00
1.0


1690
1041
1870

246
65
1098
470
総生産(穀物換算) 2920
(注1)小区画あるいは丘陵地での耕作についての正確な見積もりは得られない。しかし、これらの面積は調査団に示された公式土地統計に含まれているというのが公式の通知である。
(注2)脱穀率は65パーセント。
(注3)ジャガイモの穀物換算は切り上げで25パーセント(4:1)。



2000〜01年における(脱穀済みのコメ、穀物換算のジャガイモを含む)穀物の国内生産は、292万トンと見積もられる。


3.食糧供給情勢

1998年、1999年に比べて、2000年の作付けシーズンは、干ばつと農業部門における慢性的な諸問題の累積効果のため不作だった。それゆえ、今年再び国内生産はかなり必要量以下に落ち込み、同国が商業的に食糧を輸入する能力はきわめて制約されたままなので、同国は再び海外からの食糧援助に大いに依存しなければならないだろう。食糧援助は、非常に多くの脆弱な人々にとって決定的な対処方策であり、それがなければこれらの人々の健康に深刻な結果が生じるだろう。図5は、FAO・WFPによる穀物不足見積もり総量に比べての1995〜96年以来、朝鮮民主主義人民共和国が受け取った食糧援助の総量を示している。実際の食糧援助の不足見積もり量に対する割合は、1996〜97年の36パーセントから1998〜99年の76パーセントまでの範囲にわたった。1995年以来、FAO事務局長およびWFP事務局長によって共同で承認された緊急食糧援助活動の総額は、8億1500万米ドル以上に上る。それに加えて、同国はまた二国間やNGOを通じて食糧援助を受け取ってきた。

(図5:朝鮮民主主義人民共和国:1995年〜2001年の穀物不足見積もり総量に対比させた食糧援助)

グラフを参照するに際して、穀物不足見積もり量と食糧援助の差は、商業輸入でカバーされた量を示すのではなく、大抵の年で不足の大部分は満たされないままだったことに留意しなければならない。例えば、1996〜97年における危機の頂点では、実際の食糧援助、純国内生産、報告された輸入量を考慮すると、一人あたりの穀物見積もり入手量は必要最低量の約25パーセントに過ぎなかった。2000〜01年の不足は、改訂された公式人口数に基づいており、また最新の食糧援助輸送予定に基づいている。

3.1 2000〜2001年(11月〜10月)における穀物供給・需要バランス

次の穀物取引年(2000年11月〜2001年10月)の穀物の供給と需要のバランスを見積もるにあたって、以下の仮定と数値が用いられた。すなわち、・2000〜01穀物取引年なかばにおける人口2,318万人は、1999年のFAO・WFP収穫・食糧供給調査団へ提供された改訂された人口見積もりと、年1.5パーセントの公式人口増加率に基づく(注3)。

(注3)人口数はFAO・WFP調査で用いられた以前の推計より少ないが、死亡率推計を組み入れ、現在の食糧入手量や住民の健康状態と一致するより低い出生率を仮定しているので公式の数字が用いられた。
  • 一人あたり年間、コメ100キログラムとトウモロコシ67キログラムの必要消費量が用いられたが、それは1600カロリー、つまり人間一人あたり一日2130カロリーの必要カロリー量の75パーセント。
  • 2000年の収穫のために必要な種子は以下の数値を用いて見積もっている。
  • イネ:58万ヘクタールについて、ヘクタール当たり125キログラム(コメ81.25キログラム)=4万7125トン
  • トウモロコシ:49万6千ヘクタールについて、ヘクタール当たり45キログラム= 2万2320トン
  • ジャガイモ:18万7千ヘクタールについて、ヘクタール当たり1000キログラム(穀物200キログラム換算)=3万7400トン
  • 小麦・大麦:12万3千ヘクタールについて、ヘクタール当たり200キログラム= 2万 4600トン
  • 輸送と脱穀における持続する問題ゆえに収穫後の損失を15パーセント。この点は今年、収穫時における雨天によって悪化させられた。
  • 家畜の全体数は増加しているが、ヤギにより重点がおかれ、ウシにはそうではない。にもかかわらず雄牛数の若干の回復がみられ、また、これらの動物は耕作や輸送のような以前機械化されていた農作業の点で重要性が増している。この重要性のために、家畜の十分な維持・確保が必要である。ゆえに、飼料用の穀類の見積もり量は、以前同様、30万トンが保持される。
  • イネのコメへの脱穀率は、以前のFAO・WFP調査団が用いた65パーセント。
  • 2000〜01年における穀物の商業輸入の政府目標は35万トンだが、所与の経済的制約や近年の実際の輸入量から、この目標は達成されそうにない。ゆえに調査団は商業輸入量を20万トンと仮定した。
上記に基づく2000〜2001穀物取引年(11月〜10月)の穀物バランスシートは、表2に示される。

表2:朝鮮民主主義人民共和国:
2000〜01年(11月〜10月)の穀物バランスシート
千トン
総入手量
穀物生産(注1)
在庫引出し
2920
2920
0
総利用量
食糧利用
飼料利用
他の利用、種子用、収穫後損失
4785
3871
300
614
輸入必要量
穀物取引輸入能力
利権輸入
カバーされていない不足量
 内未確認の緊急食糧援助約束
1865
200
500

1165
60
(注1)穀物換算されたジャガイモを含む
穀物生産量は表3から。



4.食糧ニーズと食糧支援のの役割

4.1 家計の食糧入手可能性

食糧ニーズを満たす上での公的配給システムの能力減退により、他の手段すなわち農民による自由市場や一部の工場単位からの食糧などの重要度が増大している。しかしこれは様々な人口層の間で食糧入手手段に関する格差を拡大させてもいる。食糧生産地と近接しておらず、食糧を調達する手段に乏しい都市住民にとって、食糧をめぐる競争はますます激しくなっている。これらの人々は、すでに弱体化した社会的安全網システムの中でも特に脆弱なので、最も大きな懸念を生じさせている。さらに、ノルマに基づくマクロレベルでの食糧供給分析は全体的なニーズの指標とはなるが、上述の格差に関して注意は払われていない。利用可能な情報によれば、都市住民は農村の人々にくらべて1人当たり20-25%ほど穀物の入手量が少ないことが示されている。家計の食糧入手は、たとえば鶏のように交易可能な財を持てるかどうかに、より大きく依存するようにもなっている。

小規模な交易や協同農場における労働−現在,これに対する報酬は「労働点数」のシステムに基づく食糧配分である−はさらなる食糧を得るための別の手段である。さらに使節団は、現地訪問の間、多数の人々が収穫済みの田でこぼれた米を拾うのを見た。このことと崩れやすい丘陵部での耕作の増加は、飢餓の問題がDPRKにおいて終わったというにはほど遠いことを示している。

生起しつつある格差と食糧入手能力の違いを考慮すれば、最も脆弱な層はますます取り残され、ますます栄養失調になる危険にさらされている。これらの人々は、それゆえ食糧援助を提供する際に最大の配慮が必要である。したがって、以前の食糧不足の影響からいまだ回復途上にある人々、そして特に今年の国内生産の大幅減少の結果、2000/01年の公的配給システムを通じた食糧入手の減少が予想されることを考慮すれば、平均以上に苦しむことになる人々を、主たる食糧援助の対象とすべきである。加えて、保育施設や妊娠中・授乳中の母親を対象とした、現行のWFPによる食糧援助は非常に効果的であり継続される必要がある。

4.2 栄養要求量の評価

食糧ニーズを評価する際、FAO/WFP収穫食糧供給査定使節団は、2100Kcalの最小必要カロリーの75%を供給するための167 kg/caput year という基準を用いている。緊急対策に対して、通常WHOとWFPは、外気温が摂氏20度以下で5度下がるごとに100kcal加えるという規則を導入して必要カロリー量を計算している。DPRKにおける平均気温は摂氏11度なので、割増は200kcal、総計では2300kcalである。この仮定は、多数の人口集団が数年間低い食糧摂取を続けた後で栄養回復を必要とするので、見直す必要があるかもしれない。UNICEFから得られた数値によると、60%の子供に慢性の栄養失調(発育不良)、7歳以下の子供を持つ妊娠中の母親の30%に貧血が見られる。これらは極端に厳しい値であり、通常の必要量以上の追加的食糧摂取と、最も重要なことであるが、栄養強化された食糧の供給のみが、長期的にこれらの慢性的栄養失調の厳しい影響を減少させることができる。

使節団は、これらの追加的ニーズを満たすため、将来的にカロリーの必要水準を増加させても良いという見解を持っている。しかしこのことを正当化するため、客観的で科学的な栄養査定がただちに行われることが不可欠であると使節団は考えている。そのような作業の後でないと、食糧供給状況と食糧援助ニーズの今後の査定において、基本的ニーズの改訂を正当化することはできない。

4.3 脆弱性の分析と食糧援助の対象設定

バランスシートに示された集計的需給分析は、次年度の食糧供給状況と食糧援助に対するニーズに関する全体像を提供するが,様々な人口集団内での差異や脆弱性の程度に関しては注意が払われていない。食糧の入手手段に関して大きな格差が存在することから、使節団は今後の食糧援助の対象設定を改善するため国内の脆弱性の程度を査定することの重要性を指摘している。脆弱性の分析は提案された栄養調査と併せて実施することができる。

4.4 食糧援助の配送とモニタリング

2000/01年には分配量が増加するのであるが、このことは食糧援助の分配とモニタリングのために実用的で実現可能な配送システムが求められる。二つの主たる配送経路と、一つの補助的経路が推奨されている。

主たる配送経路は:
  • 公的配給システム(PDS)の強化
  • 子供や母親たちへの栄養強化食品の分配
補助的経路は「食糧のための労働(FFW)」

昨年中のPDSによる分配は、穀物ニーズのおよそ40%をカバーしたに過ぎない。食糧に関して不安定な世帯はほとんどが、より有利な人口集団(他に公的な食糧供給に頼ることができたり、十分な所得や食糧を調達するために交易可能な財を持つという意味で)に比べPDSの供給に大きく依存している。したがってPDSシステムは最も脆弱な集団に対してきわめて重要な安全網を提供しつづけるであろう。しかしプログラムによる食糧援助以外で、PDSを通じて行われる食糧援助は最も脆弱な層を対象として特定することが求められる。現在,PDSはWFPが食糧支援を母親や高齢者に届けるために使われている。この人口集団に属するすべての個人はカバーされており、したがって地理的な対象設定(都市域と食糧不足地域)のみが適用されている。はるかに大きな割合のWFP食糧援助プログラムは、現在、弱者集団への給食プログラムを通じて行われている。これらのプログラムは、危険にさらされたグループの栄養失調問題に対処する上でとても貴重である。しかしこの種のプログラムでは個人でなく地域的対象設定のみが可能なので、このプログラムに含むべき個人を選定する際の誤りが相対的に高い。

たんぱく質や微量栄養素不足の深刻な問題に対処するための給食プログラムにおいて,母親や子供たちに分配すべき栄養強化食品の割合を高めることがより有効である.現在,WFPと二つのNGOは15歳以下の子供たち及び妊娠・授乳中の母親のために用いる栄養強化食品の現地生産を支援している.現地生産能力はまだ限定的であり,生産は電力の断絶によって妨げられてもいるので,特定の食糧援助輸入によって現地生産を補完することが重要である.人道支援によって提供される食糧の集合には,大豆などのような高たんぱく食品がより多く含まれなけねばならない.受け入れ施設における衛生的調理が保証できるのなら,学校給食や幼稚園において粉ミルクはとても貴重な投入物である.

食糧援助は立ち入り可能な郡にのみ分配される.食糧援助のモニタリングは,特に国内で食糧の入手可能性に格差がある状況を考慮すると,食糧援助の対象設定を精緻化するための重要な手段である.訪問の手配に関して柔軟性が増し,農村部の受益者に対する訪問許可がより多く出るようになるなど,概して立ち入りの質は改善されてきた.しかし使節団は,立ち入り可能な郡においてより多くの抜き打ち的訪問が,ニーズや脆弱性を評価する上でより優れた方法であり,これは今後の支援の対象設定を利するであろうと指摘する.全211郡の内、現在WFPは163郡(人口の84%をカバー)に立ち入り可能である.1998年3月以来、モニタリング目的の立ち入りは151郡から現在の163郡に徐々に増加した.


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