Axis of Evil: Letter to George W. Bush, President of the United States

悪の枢軸論について:韓朝鮮系アメリカ人連盟によるブッシュ米大統領への公開書簡


http://www.ko-amleague.org/

Hon. George W. Bush
President
United States of America

親愛なる大統領殿

2001年9月11日、私たちの国はその根幹が揺さぶられました。アメリカの理想主義が試され、そして、テロリズムの廃墟の中から愛国心の旗が、かつて以上により鮮やかに偉大にはためきました。あなたの断固とした対応は私たちの国を一つにまとめ、最高司令官としてのあなたの行動は、アフガニスタンにおけるタリバン政権に対する私たちの勝利に帰結しました。私たちは、150万人以上に上る韓朝鮮系アメリカ人(Korean-Americans)の大多数があなたの指導力を支持していると確信します。

その後1月29日に一般教書演説で、あなたは、イラク、イラン、朝鮮(North Korea 朝鮮民主主義人民共和国 Democratic People’s Republic of Korea, DPRK)を名指しする「悪の枢軸」について国民に話しました。私たち韓朝鮮系アメリカ人の大半は1960年代にアメリカに来ており、戦争の荒廃の生々しい記憶を持つだけでなく、例外なく朝鮮にも韓国(South Korea)にも密接な親族関係を持っており、また、私たちのうち朝鮮戦争(Korean War)を経験した高齢者は、今なお戦争の荒廃を生々しく覚えています。

それゆえ、私たちは、私たちの出身国における平和の維持に強く関心を抱いており、そして、朝鮮半島(Korean peninsula)の平和的再統一が絶対必要だと堅く信じています。

韓朝鮮系アメリカ人として、私たちは「9月11日」だけでなく、また「6月15日」も銘記しています。この6月の日は、双方のコリア(Koreas)の元首がはじめて会い、平和的な再統一に合意した日としてすべての韓朝鮮人(Koreans)に思い出されます。韓朝鮮系アメリカ人は、その合意を、再統一され、平和で経済的に強力な7千万の人々の国に向かっての歴史的な第一歩として歓迎しました。

韓朝鮮系アメリカ人として、アメリカの支持と同意がなければ、私たちの祖先の国の平和と統一された再生という私たちの熱望がただの夢にすぎないということを、私たちはまた理解しています。このことは、アメリカが近代の朝鮮史のあらゆる重要な段階で歴史的につながっていたからなのであり、それは、1945年のその国の地理的分裂、1948年の政治的分裂を引き起こした韓国政府(大韓民国 Republic of Korea, ROK)の創設、冷戦期の代理戦争としての1950年の同胞相争う戦争、そして、その国の分割を永続化させた1953年の休戦にまでさかのぼります。今日、アメリカはコリア(Korea)に3万7千人の合衆国軍を駐留させ、アメリカ人将軍が韓国・合衆国合同軍を指揮しています。

韓朝鮮系アメリカ人として、私たちは、朝鮮に対する繰り返されてきた合衆国の外交的、国家的対決は、文化的、歴史的現実の両方を無視しており、2000年6月15日に2つのコリアによって達成された、有望ではあるが壊れやすい緊張緩和をほりくずすものと考えます。私たちは、朝鮮を私たちの敵として言及することは、私たちが彼らの敵と見なされることに帰結すると強く感じます。

韓朝鮮系アメリカ人として、朝鮮を「悪の枢軸」の一部に含めることについての懸念は、合衆国が朝鮮を攻撃するだろうと思うことではなく、朝鮮が、合衆国による敵対行動が切迫しているという確信の下で南を先制攻撃するだろうということにあります。

韓朝鮮系アメリカ人として、私たちは、私たちの政策立案者の一部に朝鮮の文化と政治の明確な理解を深める緊急な必要があると感じます。それにより、私たちは、朝鮮へのより現実的で建設的な外交政策を作り上げることができます。

韓朝鮮系アメリカ人組織の代表として、私たちの多くは、人道上、宗教上、医療上、科学上の対話を通じて、敵意と不信を相互理解と仲直りや和解に変える可能性を探るべくしばしば朝鮮を訪ねてきました。私たちは、より多くの接触と理解によって合衆国と朝鮮の和解は可能だという希望と信念を持ち、愛国的なアメリカ人として訪問します。私たちは韓朝鮮人であるがゆえに、そして、長年にわたる接触の結果、私たちはピョンヤンの見地についてのユニークな理解を身に付けていると信じています。大統領殿、私たちは、生活のあらゆる側面で朝鮮と合衆国との間に深遠な相違があることに強く気付いており、そして、朝鮮民主主義人民共和国についていかなる幻想も抱いておりません。しかし、共通の文化的背景の見地から問題にアプローチするとき、私たちは相互の信頼と尊敬に基づいた関係を発展させることができたのです。

私たちは朝鮮は変化の必要があると考えます。私たちの彼らとの多くの接触で、私たちは、朝鮮はその門戸を開かねばならないこと、そして、他の諸国との間に正しい位置を占めねばならないことを確信しました。私たちは、朝鮮による外国人嫌いの国際的行動と見えるものは、ピョンヤンが合衆国から向けられていると見なす敵意に由来すると考えます。実際、朝鮮を「ならず者国家」とか「スターリン主義的専制政治」とか、そして「悪の枢軸」の一部、等々と烙印を押すことは、公認された疑心暗鬼と孤立を増大させています。

疑心暗鬼と孤立とは、強迫感をおびた物の見方につながります。朝鮮は防衛支出で世界をリードし、3番目に大きな地上兵力(120万人)を維持し、なお手強い海軍、空軍と(短距離、中距離の)ミサイル兵器を維持していることをあなたはきっとご存知のはずです。これは、合衆国にはほとんど脅威ではないものの、韓国に対する現実の脅威を形づくっています。実際、軍備の規模をバランスさせることが、朝鮮の現実なのです。それは、メーン州より小さく、地球の反対側に位置し、一滴の石油も産出せず、多年の自然災害のための厳しい食糧不足と、医療とエネルギーの厳しい欠乏に苦しみ、劣化しつつあるインフラしかありません。しかし、その人民は彼らの指導者の下で団結しており、世界の超大国である合衆国を含むいかなる外国勢力からも、断固として最後まで彼らの国を守ります。

大統領殿、末尾の署名者は、韓朝鮮系アメリカ人の重要な部分を代表し、あなたの現在の朝鮮政策の修正に結果しうることを希望し、敬意を表しつつ以下のような勧告を提示します。

1.大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国との間の現在の緊張緩和を支持せよ。
 ――この政策は、緊張を緩和し、2つのコリアの間の有意義なコミュニケーションに導きます。この緊張緩和を無視することは、ただ、韓国において合衆国の意図をますます疑うような人々を増加させる効果を及ぼしうるだけです。


2.反朝鮮民主主義人民共和国のレトリックを弱めよ。
 ――朝鮮の体制との私たちの相違は根深いものです。けれども、私たちを隔てている諸問題を擬人化することによっては、何も得られないし、私たち自身の国益もきっと得られません。私たちは屈強になり得ますが、人間存在としてでなく、政策レベルでそうであるべきです。また、朝鮮民主主義人民共和国が国際的な反米テロリズムと何らかのつながりがあるとは、誰も確信しないことは明らかです。朝鮮による中東へのミサイル売却という未確認の主張に関しては、私たちの衛星に基づく監視システムが朝鮮民主主義人民共和国から他の国々へのどんな船荷も厳重に見張っているということは周知の事柄です。


3.経済制裁と通商禁止を解け。
 ――それはただ、朝鮮の人々の苦難の持続の一因となり、実際にはその体制に本来備わったものかもしれない、その体制のあらゆる経済的不幸の口実を与えるだけです。もし朝鮮の側でミサイルや他の何かの兵器、いわゆる「大量破壊兵器」を中東諸国へ売却するような計画があったとすれば、さらに、それはまったく、きわめて長期に私たちが彼らに課してきた制裁に由来する、彼らの経済的必要のためです。こうした、我が政府による経済制裁の解除は、朝鮮政府によって、彼らが国際慣行の基準に、より合致するように、その取引規則・慣行の自由化という形で報いられねばならないというのが、また、私たちの期待です。


4.朝鮮民主主義人民共和国を丁重に処遇し、援助を提供することで変化を促せ。
 ――朝鮮民主主義人民共和国において求められる変化の方向と速度、および、その最終目的は、朝鮮民主主義人民共和国の人々の固有の権利でなければなりません。彼らにとって適切で、彼らの社会秩序をできるだけ動揺させない国民的進路を採用するうえで、彼ら自身の知恵と洞察力を行使する権利を彼らは持っています。彼らは、食糧、医薬品、電力、燃料等を緊急に必要としています。小国であるので、必要とされる資源の大きさは比較的小さなものです。例えば、年3億8千万ドルで飢餓を食い止めるでしょう。年1億ドルであらゆる伝染病を根絶するでしょう。(大韓民国と日本によって資金が与えられる)軽水炉原子力発電所の竣工は重要です。両方のコリアの年間防衛支出削減で節約された資金に加えて、年5億ドルでインフラ再建に十分な資金となるでしょう。それに比べて、大韓民国における合衆国軍3万7千人を駐留させる私たちの費用は年12億ドルであり、大韓民国によって年3億5千万ドルもが助成されています。私たちは気前よくする余裕があり、私たちは、第二次世界大戦の終結時、全ヨーロッパと、日本をも再建するのを助けた人民です。


5.できるだけ速やかにピョンヤンに合衆国連絡事務所を設置せよ。
 ――議会の承認が必要な公式の国交樹立を待つ代わりに、そして、ある合意を交渉するべくピョンヤンに訪問使節を送り、後日その実行を他者に任せたりする代わりに、私たちはピョンヤンに永続的、持続的基盤の合衆国政府プレゼンスを持つべきです。それは、継続的な基盤で双方の関係をうまく調整するのを可能とするでしょう。その事務所には、非常に高位の大統領任命者、つまり、例えば私たちの元大統領の一人のような、その地位が朝鮮最高指導部によって信頼と尊敬をもって受け容れられるような個人が配置されるべきです。


大統領殿、世界の他の多くの地域における問題とは異なり、朝鮮半島における問題は、思いやりと文化的理解の政策で大いに解決できるものです。朝鮮半島におけるそのような外交政策は、北東アジアの戦略的に重要な地域に位置し、アメリカ合衆国に同盟する、再統一され、安定し、経済的に強い7千万の人々の国の出現を確実なものにするでしょう。

敬具


Moon J. Pak, M.D., Ph.D.
Chairman, Steering Committee
Korean-American League (KAL)

Moo-Jae Pak
Secretary, Steering Committee
Korean-American League

Rev. Dr. Michael S. Hahm,
Chairman
Korean-American National Coordinating Council (KANCC)

Rev. Kil Sang Yoon
Chairman
Midwest Chapter
Korean-American National Coordinating Council (KANCC)

Rev. Dr. Syngman Rhee
President
Korean American Political Action Committee
National Association of Korean Americans (NAKA), 1995-1998
Moderator, Presbyterian Church (USA), 2000-2001

-----
                       (訳:李修二 s-lee@na.rim.or.jp)