朝鮮:嘘か事実か
Korea: Fibs vs. facts

レオン・V・シーガル
Leon V. Sigal

ボルティモア・サン電子版
http://www.sunspot.net/

2003年8月5日

ブッシュ政権は、その信仰に依拠した知性と、イラクについてのまったくのごまかしが今や暴露されつつある中、朝鮮についても同様に欺いてきた。

朝鮮は不承不承、多国間協議を受け入れた。朝鮮はそれに難色を示していたが、それは政権高官が言うようにアメリカとの二国間協議に固執していたからではなく、ワシントンが交渉に何の関心も示してこなかったからだ。

4月の北京での三カ国協議で朝鮮は、核開発計画を凍結し、最終的にそれを廃棄するという提案を行なった。同盟国の韓国と日本はブッシュ政権に対案を出すよう求めたが、ブッシュ政権はそうしなかった。にもかかわらず政権高官は「外交的解決」を追求しているのだと言う。

ウィンストン・チャーチルなら、このことをおそらく「用語上、不正確」だと言っただろう。その言い回しは、同格の議員間で嘘をついていると非難するのを禁じる議会の慣例を回避するためのチャーチル氏の言い方だった。ブッシュ政権は、朝鮮に関してその他あれこれの不正確を宣伝しているが、それらのすべては会談が交渉に入らないよう妨げるために意図され、また、それらのすべてが事実とは合致していないのだ。

第一に、朝鮮は核武装を決心しており、それだから交渉は無駄な事だというものだ。けれどもピョンヤンは、プルトニウムおよびウラン計画双方の確認可能な終結を受け入れ、保持するどんな兵器も放棄すると繰り返し述べてきた。しかしながら、ただでそうするのではないと。ピョンヤンは、アメリカが攻撃せず、経済開発を妨害せず、また、その政府の転覆を画策しないという書かれた約束を求めているのだ。

ピョンヤンは、中国、韓国、日本、ロシアが交渉テーブルにつこうがつくまいが、アメリカとの直接取引を主張しているが、それは、これらのどの国もアメリカに取って代わって朝鮮の安全を保障できないからだ。過去2年間、ピョンヤンは韓国および日本とは何らかの核取引の一部として援助や投資をそれらの国が提供するようにと継続して協議してきているのだ。

朝鮮はアメリカの査察官にはその核施設をモニターさせるだろうが、ピョンヤンが「敵視政策」と呼ぶものをワシントンがやめるまでは国際査察には応じないだろう。

朝鮮は、ヨンビョンの原子炉でプルトニウムを再加工し、使用済み核燃料をさらに産出しつづけるだろう。また、濃縮ウラン生成のためのガス遠心分離機も建造しつづけるだろう。朝鮮は原則として、それらを停止する前にその安全保障と経済的関心をアメリカが充たすよう約束する協定を求めているのだ。

このことは、もしアメリカが敵のままであるなら朝鮮は脅威を感じ、その脅威に立ち向かうべく核兵器とミサイルを入手しようとし、逆にアメリカが敵であることをやめるなら、朝鮮はそうしないと述べている彼らの基本的なスタンスを強調することが意図されている。

では、朝鮮は言った通りにするだろうか。双方の利益を満足させる提案をテーブルに載せてみなければ、それを確かに知る方法はない。歴史は、朝鮮が喜んで取引することを示している。1994年10月の枠組み合意で、朝鮮は少なくともこれまでに年に原子爆弾30発に相当するプルトニウムを産出できたような施設の稼動を凍結したのだ。それは実際的な核兵器計画だった。それに対して、朝鮮によるウラン濃縮事業というのは、アメリカの諜報機関によれば早くとも2005、6年頃までは十分な量の兵器転用ウランを産出する準備は完了しないだろう。

ブッシュ政権によって提起されている第二の不正確は、アメリカは約束を守ったが朝鮮は裏切ったというものだ。ブッシュ大統領は3月6日、「私の前任者は誠実な努力により枠組み合意を始めた。アメリカはその合意を遵守したが朝鮮はそうではなかった。我々は合意が有効だと思っていたが、朝鮮はウランを濃縮していた」と述べたのだ。

彼の補佐官たちは彼に間違ったことを伝えた。事実は、ワシントンはいちばん欲するものは前もって手に入れたが、約束の目的には応えなかった。枠組み合意が調印された直後の選挙で共和党が議会の多数派を占めたとき、共和党は取引を宥和政策だと非難した。彼らを相手にするのを恐れて、クリントン政権は枠組み合意の実行を引っ込めた。クリントン政権は2000年までほとんど制裁緩和措置をとらなかった。軽水炉建設はなかなか始まらなかった。我々[アメリカ]は「2003年の目標日時までに」軽水炉2基を提供する約束をしたが、2002年4月まで基礎工事のための最初のコンクリートを打ち込まなかった。我々は常には日程どおりに重油を送らなかった。特に我々は、枠組み合意第2条における「政治的、経済的関係の完全な正常化に向かう」という約束、つまり敵対と経済制裁を終わらせるという約束には応えなかったのだ。

ワシントンが協定条件をなかなか遂行しないなか、ピョンヤンは1997年に協定を破棄しそうだった。その後まもなくパキスタンからのウラン濃縮技術の獲得が開始された。それは試験的な計画であり、ブッシュ政権が交渉を拒否し、その代わりに朝鮮を核攻撃対象リストに載せた後の2001年から朝鮮が獲得にのりだしたような本格的な技術力ではなかった。

第三の不正確は、朝鮮が崩壊寸前にあり、経済制裁および海上封鎖によって崩壊させられるというものだ。けれども、朝鮮への圧迫の試みは、崩壊よりはむしろ朝鮮を一層速やかに核兵器へと向かわせることだろう。絞殺戦略というものは朝鮮のあらゆる隣国が進んでそれに加担しなければ効果的ではありえない。どの国もそうはしたくないのだ。それら諸国はブッシュ政権がなお学ぶべき事柄、つまり、交渉なしの圧力はピョンヤンには通用しないということをよく知っているのだ。


レオン・V・シーガルは、ニューヨークの Social Science Research CouncilにおけるNortheast Cooperative Security Project の責任者であり、著書に Disarming Strangers: Nuclear Diplomacy with North Korea (Princeton Press, 1999) がある。