朝鮮は食糧を必要としている
     アンソニー・バンベリー

     Korea needs food
     Anthony Banbury

     http://www.iht.com/articles/125762.html

     2004年1月21日
     バンコク

ここ数日、国連機関の世界食糧計画は、朝鮮における食糧援助の不足を警告してきた。最近のアメリカ、欧州連合、オーストラリアからの新たな寄贈表明にもかかわらず、朝鮮半島を冬が包み込んでいる時、270万人には間に合うように食糧は届かないだろう。次の金曜日 [1月23日(訳者)]、我々は、およそ650万人の朝鮮の子どもたち、女性、高齢者のための穀物が枯渇する。食糧援助では、タイミングが最も大事だ。寄贈が表明された時から子どもたちがそれを食べる時まで、数ヶ月かかりうるのだ。

こうした危機的な状況で、世界は、はたして朝鮮に食糧援助を行なうべきかどうかという疑問が提起されてきた。朝鮮が厳しい自然災害と劇的な経済的衰退を経験した1995年以来、国際社会は、援助すべきと明確に信じてきた。アメリカ、日本、韓国、オーストラリア、カナダ、それに欧州連合などの援助国は、世界食糧計画を通じて朝鮮に数百万トンの食糧を送った。こうした寛容さと、支援機関スタッフの勤勉さとが、数十万人の命を救った。

朝鮮は、ここ数年間、大規模な自然災害をこうむっていない。穀物生産は改善し、食糧援助が数百万人の生命にとっての危険を減らしてきた。援助モニタリングに課せられた朝鮮政府による継続的な制約ということを前提にすれば、それでもなお、世界は朝鮮へ食糧を提供すべきなのか? まだ、それは必要なのか? 食糧は、それを最も必要としている人々に届いているのか? これらは、難しい問題だ。

世界食糧計画は、食糧はなおも必要だと確信し、しかも、それは飢えた人々に届いていると確信している。我々が、朝鮮に食糧援助を送り続ける多くの理由がある。

朝鮮の民間人のうち数百万人は、どうしても食糧を必要としている。世界食糧計画の活動は、朝鮮の主に女性、子ども、高齢者といった人々、650万人に食糧を提供するように意図されている。この国の子どもたちの40パーセントが慢性的に栄養不良であり、多くの子どもたちが永久に発育不全で、学習能力が損なわれてしまったままだ。

世界食糧計画は食糧援助をモニターしている。この機関は、朝鮮全体で6ヶ所の事務所に40人以上の国際スタッフを擁しており、月に500回以上のモニタリング視察を実行している。残念ながら、政府は、我々のモニタリング計画で、訪問予定の地区と施設の種類を一週間前には特定するのを承諾するよう我々に要求する。しかし、我々が、実際にどの学校や家庭が訪問されるかを決定するのは、訪問の当日になってからなのだ。政府が、品物をあちこち移動させたり、受益者を指導したりする時間など、ほとんどないのだ。

我々は、朝鮮で圧倒的に最大の人道機関であり、首都の平壌以外に常駐施設を持つ唯一の機関だ。我々の努力のほとんどは、モニタリングに焦点を当てている。この機関は、朝鮮での食糧援助をモニターする我々の力量を改善するために、政治的なチャンネルを通じて、たゆまず働きかけている。

これらの努力は、著しい改善をもたらしてきた。子どもの栄養不良は、1998年の我々の最初の調査以来、大いに減少した。我々は、モニタリングに関して、なお前進すべきところもあるが、どの年もその前の年よりは改善されてきたのだ。

食糧機関のスタッフが、朝鮮でモニターするために払っている犠牲を、統計が示すことはない。たとえば、ヒーラ・シレスタは、平壌から車で3日かかる清津で働いている。彼の事務所と寝室では氷点下の気温だ。彼は、数日間電気なしで過ごす。彼が使える唯一の水はバケツで受け取り、朝までには凍っている。この機関の朝鮮のスタッフのほとんどは、似たような状況にある。

援助のすべてが意図された受益者に届いていると我々が保証できないならば、我々は、朝鮮の飢えて寒い数百万の人々へ食糧を提供するのをやめるのか? 世界食糧計画のスタッフは誇り高く、どんな国の軍部やエリートにでも、もし穀物やコメの一粒でも流れたなら、我々を怒らせる。しかし、我々はまた、人道主義者だ。朝鮮の約600万人に食べさせるために最善を尽くしている。我々は、彼らのすべてには届けていないかもしれないが、我々の援助をぜひとも必要としている彼らのうちの多くには届けている。

世界食糧計画と我々の援助国は、いろいろな障害にもかかわらず、食糧援助を提供し続けようと決めた。これは、責任ある者たちによってなされた決定だ。それは難しい決定であり、それは道義に基づいた決定であり、そして、それは私を誇り高くさせてくれる決定だ。

筆者は、世界食糧計画アジア地域部長