UNICEF人道支援活動 朝鮮民主主義人民共和国 支援動向 2007年4月12 日(抄訳)

http://www.reliefweb.int/rw/rwb.nsf/db900SID/LSGZ-727GMW?OpenDocument

UNICEFは、朝鮮の子ども達の生存・発育の権利が国連制裁の悪影響を被って はならないと訴えるものであり、同国の子どもや女性の命を救う私達の活動を 引き続き支援して頂くよう、支援者の皆様に呼びかけます。

現在のところ2007年支援要請の達成率は47%に留まっており、今年後半に予定 している子ども・女性向けの基礎的生活サービスが実現できない恐れが出てき ている。

1. 子どもをめぐる課題

朝鮮民主主義人民共和国では、基礎的生活サービスのネットワークが充実して いる。しかしながら近年のわずかばかりの景気の回復も、子どもや女性の為に こうしたサービスに追加投資するには至らなかった。この為様々な基礎設備が 老朽化し、特に必須医薬品や医療消耗品その他が不足するようになった。子ど もと母親の死亡率は90年代前半以来急激に上昇しており、栄養失調率はこの10 年で改善したとは言え、未だWHO基準より低いままである。2歳未満の子どもの 20% が不衛生な水と不十分な衛生習慣により下痢を患っている。教科書の不足 と学校設備の劣化の影響で、特に長期にわたり氷点下となる冬季の就学が困難 となっている。教授法も国際基準に比べて改善が遅れている。以上の事全てが 要因となって教育の質に悪影響を及ぼしているのである。

2007年2月15日、朝鮮政府はUNICEFとWHOに対し、麻疹の大規模流行に対する 支援を要請した。以来同国の全ての道から計三千件を越える発症例が報告され ている。これまでに子ども二人を含む四人が死亡している。発症は全世代にわ たっているが、11歳から19歳までの青少年が最も被害を被っている(報告され た事例中40%)。

現在の高い予防接種率(95%)の効果の程が、今回低年齢層の感染が比較的少な かったという事実により明らかになった。最も被害の多かった層は、90年代後 半の人道危機以来行われてきた定期予防接種の対象から外れてしまっていた人々 である。

今回行われた全国規模の麻疹撲滅キャンペーンが描き出したものは−資源があ りさえすれば−子どもの生命と健康を脅かす課題に迅速かつ効果的に対処でき るという朝鮮UNICEFチームの能力の高さである。国連中央緊急対応基金 (CERF)の緊急対応窓口を利用したことにより、今回の対応が可能になった。

食糧難については引き続き懸念事項である。最近世界食糧計画が今年の穀物不 足は百トンに達する見込みと発表して注目を浴びた。これほどの規模で不足す ることになれば、諸外国からの食糧調達が減少していることもあいまって、栄 養失調により既に脆弱な状態にある子どもや妊婦の生命が著しく危険に晒され るだろう。

今年に入ってからはUNDPの同国での活動停止という出来事もあった。この件は UNICEFの事業には直接影響しないものの、同国の国連カントリー・チームの人 道支援活動は低調になっている。国連安保理による制裁のため寄付をためらっ ている支援者も依然多く、だからこそ本報告にある支援要請は一層緊急性を帯 びるのである。

2. UNICEFの対応 活動及び実績、制約

朝鮮ではUNICEFは全国レベルと重点支援郡の二段構えで介入している。全国 レベルでは政府側担当部署の能力育成を狙って基礎的生活サービスの提供や政 策の策定及び改善を進める。また予防接種や必須医薬品、虫下し、ビタミンA 補助剤を配給する事業計画を実施する。数少ない重点支援郡では、各部門が限 られた資源でより大きな効果をもたらすことに集中し、政府が自活的かあるい は他の資源を動員して今後実施する際のモデルとなることを目指す。

朝鮮駐在のUNICEFあて寄付は主に必須医薬品やワクチン、微量栄養素、上水 道のパイプなどに活用されている。物資のほとんどは国外からUNICEFコペンハー ゲン事務所の供給部や中国事務所を通じて調達している。10名の国際職員が北 朝鮮事務所で勤務しており、様々な事業に充てられる資金を管理している。

(中略)

健康と栄養

今期の主要な成果は麻疹流行対策である。WHOや国際赤十字・赤新月社連盟 (IFRC)と協動し、6ヶ月から15歳までの子ども600万名を対象に全国的に免疫強 化プログラムを実施した。第一段階は2007年3月16日に完了した。低年齢層に は免疫力強化の為ビタミンA補助剤が与えられた。WHOとUNICEFの有能なスタッ フが同国を訪問、あらゆる段階の予防措置とフォローアップについて政府担当 者に助言を与えた。第二段階では16歳から29歳までの102万名を対象に4月10日 から行われる予定である。

定例の事業として予防接種が2006年初頭から第三四半期まで行われた。DTPと Hep Bの混合ワクチンを2006年から導入した結果、3四半期間の平均達成率は 84%に達した。

(中略)

昨年UNICEFや国際赤十字、WHOは保健省と協議し,訪問可能な郡の保健医療施設 に配給すべき最低限の薬の目録について合意した。UNICEFと国際赤十字が郡及 び里の保健医療施設支援を担当し、WHOは道レベルの病院を担う予定である。 一月には政府がUNICEF支援による第一四半期分の必須医薬品の配給を開始した。 訪問可能郡の人口の57%にあたる1130万人を対象に、6郡1直轄市の保健医療施 設2800箇所に配られた。

2007年は下痢治療用の経口補水塩(ORS)の国内生産量を、同国全体の需要の90% にあたる700万袋まで増やす計画である。2月には昨年国内生産されたサンプル の品質を国外の独立ラボが確認している。最初の3万袋分の原料の輸送が現在 進行中である。

栄養補給関連では、鉄・葉酸補助剤500万錠が24-28歳の未妊娠女性用に、同 4500万錠が42万の六ヶ月未満の妊婦用に確保された。政府発表によると2006年 の達成率は鉄・葉酸補助剤が74.8%で複合微量栄養素補助剤が99.6%であった。

5歳未満の子ども200万名の駆虫用にメベンダゾールを確保し、5・11月に実施 する子ども健康の日に利用される予定である。ビタミンAも調達され、通常で あればやはり子ども健康の日に配給されるものだが、今年は麻疹撲滅キャンペー ンの第一段階として投与する。2006年の達成率は子どもが99.5%で妊婦78.7%だっ た。

ヨード添加塩の生産が予定より遅れている。政府発表によると2006年の生産量 は11月までで23.7トンであり、食卓塩の年間総需要の59%にしか達していない。 原因は主に生産施設のエネルギー不足にある。対応策としてヨード添加油2万8 千錠が、病状が深刻な妊婦に配給された。

妊婦や子どもの世話を家族が一層丁寧に見ることを目指して、保健省と共同で 新婚夫婦向けの冊子を作る事業を始めた。冊子には結婚して最初の一年間に必 要となる、ジェンダーや家族計画、HIV/AIDS、妊婦管理、妊娠時の栄養摂取に 関する情報が載せられる。

水道・環境衛生

2007年1月から3月まで、UNICEFは政府機関とともに、3郡において自然落下方 式による新水道設備の建設準備に取り組んだ。6万人が恩恵を受けると見込ま れている。老朽化したポンプ式水道設備をこの方式のものに取り換えられるか、 数箇所の地域で調査が行われ、既に2箇所が選定された。詳しい設計は2006年 に研修を受けた朝鮮人技術者が担当する。3箇所のうち一ヶ所分の備品は確保 済だが、残りは確保の見込みが立っていない。

2006年末に注文していた緊急時用水道供給セットがようやく到着し、昨年の水 害のような緊急事態に備えて政府の倉庫に搬入された。5000世帯が一ヶ月間利 用できるよう、計500セットが調達された。

教育の質の改善

初等学校と中学校の教科書7万5千冊を印刷する為に必要な紙などの資材の需要 量が確認された。各地で学習評価に関する先行事業を展開する為、50名の教育 省職員の技能向上に取り組む方針も確認された。カリキュラムの見直しや教育 実習、健康や衛生に重点を置いた生活技能教育などの方針も盛りこまれている。 特に算数のカリキュラム見直し作業がはじまり、昨年UNICEFが練り上げた三ヶ 年計画が採用された。

初等学校と幼稚園の学習環境改善に関する自己評価の方法論が三地域の郡で立 案されている。教育設備の復旧に関しては、二重窓による寒波対策や便所と台 所の衛生設備改善、机や椅子などの交換に力が注がれる。3万名の子どもがこ れらの改善事業の恩恵を受ける。しかし2006年からの繰越金があるにもかかわ らず、資金不足から完全な復旧は不可能である。

3.支援要請額と受領額

資金は依然不足している。合同緊急要請(CAP)が無くなって以来、UNICEFは人 道支援活動報告(Humanitarian Action Report,HAR)を通じて緊急資金の確保を 模索している。これまで計1千万ドルの要請額の47%にあたる3,645572ドルが寄 付された。加えて310万ドルが麻疹流行対策の予防接種資金として国連中央 緊急対応基金(CERF)から提供された。だがこの基金はHARとして予定していな かった緊急物資の調達に活用されたため、通常の寄付としては計上されない。

表1:部門別寄付実績高 4月5日現在(US$)

部門 要請額 寄付実績高 未達成額 未達成率
医療・栄養 6,450,0003,645,5722,804,42857%
上水道・衛生 2,600,00002,600,000100%
教育 950,0000950,000100%
合計 10,000,0003,645,5726,354,42863%

表3:2007年度緊急優先課題

事業受益者/範囲必要額(US$)
1. 必須医薬品の配給 2四半期分 6道1市の1,100万人強 1,600,000
2. 予防接種拡大事業用ワクチン・注射器 2四半期分 2歳未満の子ども20万人・妊婦10万人 600,000
3. 自由落下型水道設備2基用の物資 約5万人 1,200,000
4. 2郡の学校・保育所復旧 学童3万人 200,000
合計 3,600,000