内閣総理大臣            福田 康夫 様
内閣官房長官(拉致問題担当)    町村 信孝 様
法務大臣              鳩山 邦夫 様
外務大臣              高村 正彦 様
経済産業大臣            甘利  明 様
国土交通大臣            冬柴 鐵三 様
内閣総理大臣補佐官(拉致問題担当) 中山 恭子 様

西暦2008年5月1日
朝鮮人道支援ネットワーク・ジャパン
(ハンクネット・ジャパン)

日本政府の朝鮮に対する制裁措置延長の即時中止の申し入れ

日本政府は、2008年4月11日、またも朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮) に対して、「万景峰号の入港禁止」と「朝鮮民主主義人民共和国からの輸入の 禁止」という制裁措置の実施を決定した。私たちは、日本政府のこの決定に強 く抗議するとともに、制裁措置の即時中止を申し入れる。

拉致事件の解決のためにと、日本政府は、対話と圧力で朝鮮政府に対応すると 言ってきたが、実際は今日まで圧力のみで対応し、朝鮮との信頼関係を壊して きた。そして、朝鮮をして「経済制裁は準戦争体制」と言わせしめているよう に、極めて、険悪な関係を生み出した。このように、政府の圧力政策は、拉致 事件解決の進展をみるどころか、解決を困難なものにしてしまった。もちろん 拉致事件は、犠牲者が納得いくよう解決されるべきである。しかし、事件の解 決といいながら対話を拒絶する日本政府の対応は、解決の糸口と手段を得るこ とを自ら放棄しているに等しい。

また、政府が頼りとしてきた制裁措置の効果は、全く無いと言える。そもそも、 日本の植民地支配で、言語を絶する苦しみを受けた朝鮮が、経済制裁という日 本の圧力に屈する筈がない。そのことが理解されないのは、外交政策を論じ策 定する為政者たちに、日本が植民地支配によってどれほどの苦しみを朝鮮の人々 に与えたかが、認識されていないからである。もし、このことが本当に理解さ れているなら、日本が受けた被害のみを一方的に強調するだけでは解決になら ないことは自明であるはずだ。

朝鮮との関係に限らず、相手国との間に解決しなければならない問題があると き、相互の信頼関係を構築する以外に道はない。植民地支配の加害行為につい ては一切語らずして、どうして信頼を得られようか。また、ミサイル発射実験 や核実験は朝鮮だけが行っているわけではないのに、制裁措置で構える日本政 府の対応は、朝鮮に対する民族排外主義による敵視政策以外のなにものでもな く、これでは対立を煽っているだけであり、日朝間の不幸な過去を清算するこ とも、懸案事項を解決することをも不可能にしてしまっている。

今回の万景峰号の入港拒否という制裁措置についても猛省を促したい。朝鮮の 植民地化で、多くの朝鮮人が困窮して日本への渡航を余儀なくされた。また、 アジア・太平洋戦争の時期、日本政府は朝鮮人を拉致して強制労働につかせ、 多数の死者や行方不明者を出した。日本政府はこの朝鮮人強制連行について、 真相究明も謝罪も賠償もしていない。在日朝鮮人は戦後も差別と貧困の中に無 権利で放置され、そのうち約9万人が、日本政府も深く関与した帰国事業によっ て朝鮮本国に渡った。万景峰号の入港禁止は、日本の植民地政策の被害者とい うべき在日朝鮮人に対して、家族再会や墓参の機会を奪い、さらなる離散の苦 痛を与えるものである。私たちは、日本政府に、道理と人間としての品性ある 対応を求める。「万景峰号の入港禁止」と「朝鮮民主主義人民共和国からの輸 入の禁止」という制裁措置の即刻の中止を求める。「在日朝鮮人に対する人権 蹂躙」と、「朝鮮総連に対する政治弾圧を反省し中止」を求める。

そして、平壌宣言で約束された、「双方は、相互の信頼関係に基づき、国交正 常化の実現の過程においても、日朝間に存在する諸問題に誠意をもって取り組 む強い決意を表明した」との精神に基づき、対話を通じた信頼関係の構築に努 め、日本と朝鮮の間に存在する諸問題の解決を求める。

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